メルセデスF1ワークスチームのCEOを務めるトト・ヴォルフが、「短期的に」現在のポジションにとどまることになると語った。
2013年からメルセデスF1チームの事実上の最高責任者となったヴォルフだが、2014年から昨年まで6年連続でF1ダブルタイトルを独占する快挙を達成するという輝かしい実績を残している。
だが、最近ではレーシングポイントのオーナーであるローレンス・ストロールと手を組んで2021年からワークス活動を行うことになっているアストンマーティンのF1プロジェクトに関わるのではないかとのうわさが強くささやかれている。
今年で現在のメルセデスとの契約が満期を迎えるヴォルフだが、昨年9月に親会社であるダイムラーの新会長に就任したオラ・シャレニウスとの関係がうまくいっていないといううわさもある。
しかし、そのうわさについて質問されたヴォルフは、母国オーストリアの『Osterreich(エステルライヒ)』に次のように答えている。
「私が読んだほとんどの記事では、みんなは1に1を足して3という答えを導き出しているよ」
「私のメルセデスとの契約は2020年いっぱいだ。そして今でも何を一緒にやりたいかということについていい話し合いができている」
「あらゆることがコロナウイルスによって後手に回っているし、我々全員がもっと大きな解決すべき問題を抱えている。我々の会社における人的問題をね」
実際のところ、最近ストロールが4月20日付けでアストンマーティンの新CEOに就任することが発表されており、少なくともヴォルフがCEOとしてそのプロジェクトに関与する可能性は小さくなっている。
そして、ヴォルフはアストンマーティンの共同オーナーとなる可能性も否定し、次のように語った。
「私はあそこ(アストンマーティン)に戦略的投資を行うつもりもないよ」
「ストロールと彼のチームは我々のチームにとっては大口の顧客なんだ。付け加えて言えば、ローレンスは何年も前から私のいい友人なんだ。ビジネス上の関係は別としてもね」
「ローレンスはアストンマーティンの会長になるし、こういう人たちは1に1を足して3を導き出せるんだ」
とは言え、ヴォルフとメルセデスの間に全く何の問題もないかと言えば、それも違うようだ。
「私は(メルセデスで)今年で8年目だ。私はこのスポーツとこのチームを愛している」
「だが、冬の間に行われた変化や個々の人たちのふるまいにはいくらか驚かされた。私が2020年以降に何をするかを決める上で、このことが関係してくるのは確かだよ」
「だが、私がメルセデスのモータースポーツ責任者であり、F1チームを預かるということに関しては、短期的には何も変わらないよ」
ヴォルフが言う「短期的」がどれくらいの期間を意味しているのかは分からないが、うがった見方をすれば今年でメルセデスとの契約が満期を迎えるヴォルフが今季いっぱいはメルセデスで続けると示唆したとも受け止められそうだ。
一方、ヴォルフに関して最近では現F1チャンピオンであるルイス・ハミルトンとの関係も悪化しているのではないかとのうわさもある。
そのことについて質問されたヴォルフは次のように主張している。
「全くばかげているよ。我々の関係はかつてなかったほど親密になっているし、今後のことについては毎日話し合っているんだ」
「あらゆることが、我々がこれまでと同じような形で続けることになると示しているよ」
ハミルトンとメルセデスが結んでいる現在の契約も2020年シーズン末までとなっている。