covid-19と名付けられた新型コロナウイルスの世界的流行により世界中でスポーツを含むさまざまなイベントが中止される状況となっているが、F1も大きな苦しみを抱えているのは確かだ。
F1オーナーのリバティ・メディア、統括団体のFIA(国際自動車連盟)、そしてF1チーム代表たちにより急遽テレビ会議が催され、今後に向けた対策についての検討が行われている。だが、新型コロナウイルス問題がいつ終息を迎えるかが分からない中、それも混迷状態にあるようだ。
■夏休みの前倒しとファクトリー閉鎖期間延長を決定
ともあれ、F1チームやFIAの下部組織である世界モータースポーツ評議会は今年の夏休みを8月ではなく3月に前倒しすることを決定。さらに、義務づけられているファクトリー閉鎖日数を通常の14日から21日に延長することも決まっている。
レッドブルはこれに関して発表した声明の中で次のように述べている。
「我々全員がレースができるようになることを熱望しています。しかし、この世界的パンデミックの深刻度は刻々と変化しており、我々のスポーツを超越した影響を及ぼしています」
■財政面にも大きな不安
さらに、F1は深刻な財政不安も抱える状況に陥っている。ナスダック(NASDAQ)に上場されているF1株式(FWONK)は2月20日時点では46ドルだったものの、現在はおよそ20ドルにまで下落している。
「その理由は明らかだ」
そう報じたドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は次のように付け加えている。
「レースができなければ金が入ってこないからだ」
■新ルール導入の1年先送りも?
こうした状況のもと、テレビ会議においては10チーム中9チームが2021年に予定されている新F1ルール導入を2022年まで1年延期することに賛成したと伝えられている。
その提案内容は、現在の2020年型F1マシンを2021年シーズンまで使用できるものとし、来年は空力開発のみが認められるとするものだったようだ。
だが、現在すでにファクトリーを閉鎖しているイタリアのフェラーリだけが、それについてはもう少し考える時間が欲しいと態度を保留したという。
しかし、レーシングポイントのチーム代表を務めるオットマー・サフナウアーは、2020年型マシンを2021年まで持ち越すことは現状を見れば当然のことだと次のように主張している。
「この劇的な状況を鑑みれば、事実上ほかに選択肢はないよ」
■2020年シーズン最終戦は来年1月開催に?
さらに、伝えられるところによれば、2020年のF1スケジュールに関しては最終戦を2021年1月に開催するという案も浮上してきているようだ。F1最終戦として予定されているアブダビGPだが、温暖な地域に位置しているヤス・マリーナ・サーキットでは1月でもレースを行うことは可能だという。
また、2021年から導入が予定されている1億7500万ドルのバジェットキャップ(F1チーム予算上限値)に関してもその額がさらに減額されるのではないかとのうわさもささやかれている。
あるF1チーム代表は匿名で次のように語っている。
「もはやビッグチームといえども傲慢な姿勢は捨てる必要がある。彼らだって現在は追い詰められているのだからね」