F1公式タイヤサプライヤーのピレリが、今季の第5戦オランダGP(5月3日決勝)の舞台となるザントフォールト・サーキットにスペシャルタイヤを持ち込まないことを決定したようだ。
ピレリは、2月にスペインのバルセロナで行われたプレシーズンテストに通常のものとは異なるコンパウンドを用いたフロントタイヤを持ち込んでいた。これは約17度のバンク角を持つ最終コーナーを始め、傾斜が大きいコーナーが存在するザントフォールト・サーキットでの安全性を高める目的で設計されていたものだ。
2005年にインディアナポリス・スピードウエイで実施されたF1アメリカGPでは、当時ブリヂストンと共にF1タイヤサプライヤーを務めていたミシュランのタイヤが大きなバンク角に対応できず、ミシュランタイヤユーザーチームがレースを棄権するという事態が発生したことがあった。今回ピレリがバルセロナでスペシャルタイヤのテストを行ったのもそうした経緯を踏まえてのことだった。
だが、このほどオランダの『De Telegraaf(テレグラーフ)』が報じたところによれば、ピレリは結局ザントフォールトにそのスペシャルタイヤを持ち込まず、通常のタイヤセットで臨むことを決定したという。
折しも、舗装工事が完了したばかりのザントフォールトでは4日(水)にマックス・フェルスタッペンが旧型のレッドブルF1マシンを使ってプロモーションのためのデモンストレーション走行を行っている。
走行を終えたフェルスタッペンは、オランダの『NOS(オランダ放送協会)』に次のように語った。
「(ザントフォールト・サーキットは)すごく良くなったよ」
「第3コーナーはすごく傾斜しているんだ。予想外だったよ。内側がすごく離れていて、最初の何回かは、コーナーの内側がまったく見えなかったよ」
「理想的なラインが見つかるまで何周かかかってしまった。でもあそこはすごく特別なコーナーだよ」
「僕はまだほかのドライバーと一緒に走っていないから、あそこを2台でうまく駆け抜けることができるかどうか分からない。だけど、間違いなく追い抜きはしやすくなるだろうね」
「最終コーナーもDRSを開けたまま走るのはすごく腕が試されると思うよ」
今回いち早くザントフォールト・サーキットでの走行を経験できたことは、ライバルドライバーたちに対するアドバンテージになるのではないかと『Algemeen Dagblad(アルゲメン・ダグブラッド)』に尋ねられたフェルスタッペンは、笑いながら「そうだといいね」と答え、次のように付け加えた。
「いいシミュレーション作業ができれば、誰でもすごくよく準備できるはずだよ