2020年のF1シーズン開幕を前に、スクーデリア・トロロッソが『スクーデリア・アルファタウリ』へと正式にチーム名称を変更した。我々と同じく「アルファタウリ?」とピンとこない人も多いと思う。そこでTopNews取材班は新生『スクーデリア・アルファタウリ発表会』とプレミアム・ファッションブランドである『アルファタウリ』を現地取材。いったいアルファタウリとは何なのだろうか?
■アルファタウリとは
アルファタウリとは、レッドブルが展開するプレミアム・ファッションブランドである。つまり高級アパレルブランドだ。公式ウェブサイトをチェックしてみたところ「見た目はシンプルで、年齢性別問わず普段着として着回しがしやすそう」というのが最初の印象だった。現在扱っている商品は衣服、バッグ、キャップ、アクセサリーなどだ。
■実店舗はまだ2店舗
アルファタウリというブランド名を初めて知ったという人がほとんどだと思う。
そこで、ヨーロッパでどれほど展開されているのか気になって調べてみると、スクーデリア・アルファタウリの発表会が行われた2020年2月14日(金)時点では、オーストリアのザルツブルクとグラーツの2店舗しかない。たった2店舗の時点でF1チームにしてしまうあたり、レッドブルの本気度が伝わってくる。
スクーデリア・アルファタウリのF1新車発表会が行われる数時間前、実際の店舗にも足を運んでみた。アルファタウリのザルツブルク店は『モーツァルトの生家』から徒歩1分、同じ通りに面しており、朝から夕方まで観光客も多いエリアだ。
さっそく店舗を覗いてみると、冬物ダウン、ジャケット、パンツ、ワイシャツ、ティーシャツ、キャップ、バッグなどが綺麗に陳列されている。
手前がメンズで、奥には点数は少ないもののレディースが陳列され、7割はメンズという印象だ。
アルファタウリのお隣には、『レッドブル・ワールド』というレッドブルのスポーツブランドを扱う店舗となっている。
残念ながらF1関連の新商品は翌週水曜日に入荷ということで数アイテムのみだったが、レッドブルがサポートするサッカーやKTMなど様々なチームの商品が並んでいた。
■マーケティングのプロ、レッドブルが仕掛けるアルファタウリ。日本展開は?
世界中の人が観るF1は、世界的企業または世界展開を目指す企業にとってブランディングとマーケティングの観点からもコストパフォーマンスに優れているというのはよく言われている。
レッドブルはただの飲料メーカーではなく、マーケティングのプロ集団でもある。エナジードリンクというジャンルにおいて世界的に知名度を上げてきたレッドブルが、トロロッソというF1チーム名を変えてまで展開するアルファタウリ。これはもちろん世界展開を見据えた動きであることは間違いない。
日本での展開は未定だが、いずれ日本でも販売されるのは既定路線だろう。アルファタウリ側が、いつ、世界のどこから店舗展開するのか注目だ。
■会場はハンガー7。レッドブル・アスリートも多数来場
レッドブルはこれまでも一味違う独自の切り口でブランドを築いてきたのは周知の通り。
そのレッドブルが、世界中のファンとメディアが注目するF1新車発表会で、アルファタウリをどうやってブランディングするのか注目していた。カラーリング、デザインなど、車体の形状や速さ以外のブランド戦略だ。
会場となったのは『ハンガー7』。普段は多くの飛行機が置かれている格納庫だ。
大きな飛行機は会場を突き抜けている。この突き抜けている感じがレッドブルらしい。
『ハンガー7』の駐車場にはもう一つの『アルファタウリ・ホンダ』が数台停まっていた。
ちなみにそのお隣にはもう一つ同じような建物があるが、それはレッドブル創始者のディートリッヒ・マテシッツ専用の飛行機がコレクションされている『ハンガー8』だ。中に入ることは誰も許されないという。
さて、ゲスト向けに慌ただしく準備に追われている会場『ハンガー7』に入ろう。
受付ではネイビーのアルファタウリのロゴが描かれた白い箱を手渡された。
中にはカーボン製のメディアパスとスケジュールが書かれた紙が一枚。すでにこれらからもベースカラーは2色になるだろうことは想像できた。
会場の巨大なフロアは、まるでクラブのような照明にアップテンポな音楽が常に流れており、ドレス姿のゲストがお酒を飲みながら、発表会とファッションショーまでの時間を楽しんでいる。
中央の舞台には白いベールに包まれたスクーデリア・アルファタウリの新車が、アンベールの時を待っていた。
メディアエリアに案内されると、ピエール・ガスリー、ダニール・クビアト、ヘルムート・マルコ、フランツ・トスト代表がすでにメディア対応をこなしていた。着用しているのは上下ともにもちろんアルファタウリだ。シンプルで上品、どの年代でも着こなせるという印象を持った。
■F1新車発表会の前にファッションショー
記念すべきその瞬間を目の前で見ようと最前列のソファに陣取ると、まず始まったのはアルファタウリのファッションショーだ。舞台にはアルファタウリの冬物やスポーツウェアを着たモデルが次々と登場。会場内はF1新車発表会とは思えないオシャレな雰囲気に包まれる。これがアルファタウリの世界観なのだろう。
司会を務めたのはデビッド・クルサード。その後ろでは「逆さ」のまま描くパフォーマンス。
上下をひっくり返すとピエール・ガスリーとダニール・クビアトの顔が描かれていた。
ドライバーの2人もアルファタウリを着こなしている。
そしていよいよ発表されたスクーデリア・アルファタウリの新車『AT01』。F1マシンもレーシングスーツも、カラーリングはネイビーとホワイトというシンプルなものとして登場したが、アルファタウリのロゴは非常に大きく描かれ、インパクトは大きかった。
ホンダの首脳陣も駆け付けていた。
ドライビングスーツの後ろにはカーナンバーが見える。
目の前で実車を見た印象は、素直に「カッコよくて、オシャレ」と感じた。その外観のデザインについても賞賛の声が多い。
そんな中、一色だけ違う色が混じっていた。『HONDA HYBRID』のレッドだ。それは遠目でも非常に目立っており、HONDAだけが違う色で彩られていることに驚いたが、これも良いパワーユニットを作り上げたHONDAの意向を尊重したのだろう。
F1チーム名となったアルファタウリが、どのように世界中で多店舗展開していくのか、そしていつ頃、日本で展開されるのか。新生スクーデリア・アルファタウリのF1での成績とともに注目していきたい。