アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)が、2020年シーズンに向けてしっかりと準備をしたいと語った。
イギリス生まれのタイ国籍ドライバーである23歳のアルボンは、2018年にF1直下のカテゴリーであるF2でランキング3位の成績をおさめた。だが、2019年に向けてF1昇格のチャンスが得られなかったアルボンは、日産のフォーミュラEチームと2019年の契約を結んでいた。
しかし、若手ドライバー不足に悩むレッドブルが昨年までトロロッソで走っていたブレンドン・ハートレーの後任として白羽の矢を立てたことで、急遽アルボンに2019年に念願のF1デビューを飾るチャンスが巡ってきたのだ。
そして、アルボンは第2戦バーレーンGPで9位入賞を果たして初ポイントを獲得すると、続く第3戦中国GPではフリー走行3回目でクラッシュを喫して予選に出走することができずに最後尾グリッドから決勝をスタートしたものの、見事に10位でフィニッシュしてポイントを獲得するといった活躍を見せた。
その後もコンスタントにいいパフォーマンスを発揮して見せたアルボンは、不振のピエール・ガスリーと入れ替わりに第13戦ベルギーGPからレッドブルに昇格。デビューイヤーのルーキーがレッドブルのドライバーを務めることになったのはアルボンが初めてのことだった。
アルボンはレッドブル移籍後も最低限のタスクである6位以内でのフィニッシュを続ける安定したパフォーマンスを発揮。第20戦ブラジルGPではルイス・ハミルトンにぶつけられて順位を下げたものの、それさえなければ初表彰台が確実なポジションを走行していた。
レッドブルではF1デビューイヤーにもかかわらず非凡な才能を示したアルボンを2020年もマックス・フェルスタッペンのチームメートとして起用することを決めている。
そのアルボンは、1年目のF1シーズンを振り返りながら『motorsport.com』に次のように語っている。
「今ではF1に馴染めてきたよ。少なくとも環境には慣れたし、これからはそれがより普通に感じられるようになるだろうね」
「今年はそれほど普通だったとは言えないにせよ、トロロッソでF1のことをたくさん学べたと感じているし、うまくやれていたと思うよ」
「そして、それが(レッドブル昇格によって)変化したんだ。まるで振り出しに戻ったような感じだったよ。でも、少なくとも今では堅実な基盤ができているし、それによってメルボルン(2020年F1開幕戦オーストラリアGP/3月15日決勝)に向けてより確実な仕事ができると思う」
そう語ったアルボンは、現在のF1ではテストが厳しく制限されていることから、2年目のF1シーズンを迎えるにあたってまずは来年2月にスペインのバルセロナ-カタルーニャ・サーキットで行われる公式プレシーズンテストを最大限に利用することが重要だと考えている。
とりわけ、実際のレース週末に入ってしまえばマシンを壊すリスクなどもあり、フリー走行でもあまり限界まで攻めるようなことはできなくなる。つまり、2020年のマシン特性をプレシーズンテストのうちにしっかりと理解することが大切になるのだ。
「そこで本当に集中し始めることができるからね」
「そして、それは自分のタイムやスケジューリングに集中し、それを最大限に生かすためにもものすごく重要な時間になるよ」
そう続けたアルボンは、次のように付け加えている。
「なぜなら、学んだり経験したりする時間だとは言っても、メルボルンに向かう前にテストができるのはたった3日だけだからまだ限られているんだ。でももちろん何もないよりはいいけれどね」
アルボンが言及した2020年のF1公式プレシーズンテストは2月の19日(水)から21日(金)までと26日(水)から28日(金)までの6日間で行われる予定だ。
通常、テストにはチームの2人のドライバーが交替で臨むことになるため、1人のドライバーがテストできるのは正味3日間ということになる。
開幕戦からトップチームのレッドブルで2年目のF1シーズンを迎えるアルボンが、フェルスタッペンやほかのトップチームドライバーたちを相手にどういう戦いぶりを見せるのかも2020年シーズンの注目ポイントのひとつになるのは間違いないだろう。