F1では2021年からPU(パワーユニット)と呼ばれる現行F1エンジンの主要構成エレメントであるICE(内燃機関)の開発を凍結することを検討しているようだ。
現在のPUはICEのほかTC(ターボチャージャー)、MGU-H(熱エネルギー回生システム)、MGU-K(運動エネルギー回生システム)、ES(バッテリー)、CE(電子制御システム)という5つのエレメントによって構成されている。
現在はシーズン中にそれらを開発することは原則として自由となっているが、ICE、TC、MGU-Hは年間3基まで、MGU-K、ES、CEは年間2基までと1シーズンに使用できる数が定められており、それを超過した場合にはそれぞれのエレメントごとに定められたグリッド降格ペナルティーが科されることになっている。
だが、PU開発には多大のコストがかかることが以前から問題視されており、エンジンサプライヤーからPUを購入しているカスタマーチームからは不満の声も上がっている。
これまでに伝えられていたところによれば、F1エンジンに関するルールは2021年以降も現行ルールを継続することになるだろうと考えられていた。
だが、現在F1ではこのエンジン開発に伴うコストを削減するための案をいくつか検討しおり、その核とも言える案がICEと呼ばれる内燃機関の開発を凍結することだという。
現在は1.6リッターの内燃機関にターボを始めそのほかのエレメントが組み合わされてPUが形成されているが、その中核となる内燃機関の開発を凍結し、MGU-Kなどのエレクトロニクス関連エレメントのみ継続的な開発が認められるということだ。
2021年から導入されるエンジン関連ルールの見通しについて質問を受けたメルセデスF1チームCEOのトト・ヴォルフはドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、まずはテストベンチの時間に制限を設けることが最初のステップだと語り、次のように続けた。
「それによって5%のコスト削減ができるだろうし、最初のステップとしては悪くはない」
「だが、もっと削減が必要だがね」
ヴォルフはその次のステップとなるのがICEの開発凍結だろうと語り、次のように続けた。
「パワーユニットの電気的パーツの開発を継続できるのであれば持続性という意味でもいいことだろう」
現在、エンジン全体として発生する出力のうち20%をMGU-Kが生み出している。ヴォルフはこれに言及し、次のように付け加えている。
「それを50%に引き上げることもできると思う」