マクラーレンでは現在、2019年型F1マシンの開発を停止し2020年型マシンの設計開発に完全移行するタイミングを見計らっているようだ。
イギリスの名門F1チームとして知られるマクラーレンだが、F1ドライバーズタイトルは2008年のルイス・ハミルトン(現メルセデス)、そしてコンストラクターズタイトルは1998年を最後に手にすることができていない。
起死回生を狙ってホンダのワークスエンジン搭載に切り替えた2015年からは状況がさらに悪化。マクラーレンは2017年限りでホンダとの関係を解消し、2018年からはルノーのカスタマーエンジンを購入して現在に至っている。
ルノーエンジンに切り替えたばかりの2018年も低迷状況から抜け出すことができなかったマクラーレンだが、今季はかなりパフォーマンスが改善されており、現時点ではトップ3チームに次ぐコンストラクターズランキング4番手に位置している。
しかし、2019年F1シーズンもまだ中盤に入ったところだが、マクラーレンではすでに2020年シーズンに目を向けている。今季は今後どれほどマシン開発を続けてもトップ3チームのレベルに到達することは不可能だからだ。
「我々はかなり以前に2020年型車の開発を開始しているよ」
今年5月にマクラーレンの新チーム代表に就任したアンドレアス・ザイドルは母国ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう語ると次のように続けた。
「昨年よりもかなり早くスイッチしたんだ」
「我々は現在、今季型車の開発をどの時点で完全に停止し、すべてのリソースを新車に傾注するのかを計画するプロセスに入っている。そうすれば2020年に向けた次のステップに入ることができるからね」
現時点において、マクラーレンはエンジンサプライヤーであるルノーのワークスチームとコンストラクターズ4位争いを展開している。そして、マクラーレンとルノーの現在のエンジン供給契約は2020年までとなっている。
2021年以降もルノーエンジンを使うことになるのかと質問されたザイドルは次のように答えている。
「ルノーが投資を継続すると聞いてうれしく思っているよ」
「だから、そのことは我々の大きな頭痛の種にはなっていないんだ。彼らがこれまで冬の間におこなってきた開発は非常に勇気づけられるものだし、最新の改良も常に約束された進歩を果たしているよ」
かつてポルシェWECチームの代表として2015年からLMP1カテゴリーで3連覇を達成した経験を持つザイドルは、今のマクラーレンにとって重要なのはチームの“文化”を変える“勇気”を持つことだと考えているようだ。
「文化を変えなくてはならない。私はこれまで常にみんなにリスクを負うよう勇気づけてきたし、それがうまくいかなかったときは彼らを守ってきた」
そう語った43歳のザイドルは次のように付け加えた。
「ただ、同じミスは2度と繰り返さないようにしなくてはならないんだ」