かつてF3000やツーリングカー選手権で活躍したデンマーク出身レースドライバーのイェイソン・ワットは、ロマン・グロージャンがハースのシートを失うことになるのではないかと考えている。
49歳のワットは、母国デンマークの『Ekstra Bladet(エクストラ・ブラデ)』に対し、同郷の後輩ドライバーであるケビン・マグヌッセンはハースでいい仕事をしていると評価したものの、そのチームメートであるグロージャンに関しては次のように語っている。
「彼が2020年も契約を延長できるとは思わないよ」
実際のところ、今季ここまでに行われた9レースでの予選ではグロージャンはマグヌッセンに対して2勝7敗と大きく負け越している。
ドライバーズポイントにおいても、マグヌッセンが開幕戦オーストラリアGPで6位、第5戦スペインGPで7位に入賞して14ポイントを稼いでいるのに対し、グロージャンはここまでに2度10位入賞を果たした2ポイントのみとなっている。
ハースがF1参戦を開始した2016年からずっと所属しているフランス国籍のグロージャンだが、確かに今季は今後のキャリアを左右する正念場のシーズンとなるかもしれない。
しかし、今季のハースF1マシンは、予選はともかく決勝ではまったくペースが上がらないという苦しい状況が続いているのも事実だ。
前戦第9戦オーストリアGPではマグヌッセンが今季最上位となる予選5番手となったものの、規定外ギアボックス交換によるグリッド降格で10番グリッドからスタートした決勝では順位を大きく下げて19位で終えてしまっている。
「ケビンはその週末には(予選で)最高の1周をやってみせた。だが、次の日(決勝)では何の見返りも得られなかった。ハースは危機的状況にあるよ」
そう語ったワットは次のように付け加えた。
「少なくとも予選はものすごくいい宣伝になったし、ヘルムート・マルコ博士(レッドブル/モータースポーツアドバイザー)を苛立たせたに違いないよ」
このワットのコメントは、今季エナジー飲料メーカーのリッチエナジーをタイトルスポンサーに迎えたハースが、世界に名だたるエナジー飲料メーカーであるレッドブルの1台を予選で上回ったことを指してのものだ。
だが、リッチエナジーはその鹿の角のようなロゴマークがイギリスの自転車メーカーのロゴを盗用したものだとの判決が下されたことから現在はハースF1マシンからもそのマークがはずされてしまっている。