ルノーF1チームを率いるマネジングディレクターのシリル・アビテブールが、ニコ・ヒュルケンベルグが「怒り」を抱えたまま先週末にF1カナダGPが行われたモントリオールを後にしていたことを認めた。
●【決勝レース結果】F1カナダGP決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
ジル・ビルヌーブ・サーキットで行われたカナダGPでは、チームメートのダニエル・リカルドが予選4番手となり、決勝も6位フィニッシュを遂げた。
だが、予選7番手だったヒュルケンベルグも決勝ではその順位をキープして7位でフィニッシュしている。チェッカーフラッグを受けた時点でのリカルドとヒュルケンベルグの差はわずか0.402秒だった。
実際のところ、レース終盤ではヒュルケンベルグの方がリカルドよりもいいペースで走行していたものの、アビテブールはヒュルケンベルグに対してリカルドにオーバーテイクをしかけずに最後まで後ろにいるようチームオーダーを出していたことを明らかにし、次のように語った。
「ニコはかなり怒っているし、私もそれは理解できるよ」
「ダニエルのタイヤの方が少しばかりくたびれていたんだ。ボッタスなどの速いクルマと素晴らしい戦いを演じていたこともあってね。私もニコにはダニエルと争えるだけの速さがあったと思っている。だが、我々にはこの結果が必要だということを彼にはっきり伝える必要があった」
「それはうれしいことではないし、私だってチームオーダーは好きではない。そしてそれはルノーのスタイルでもないんだ。こういうメッセージをしばしば無線で送る必要がないことを願っているよ」
「しかし、私の仕事はチームにとって最善の結果を得ることなんだ。我々はマクラーレンと(コンストラクターズランキングを)争っているし、チーム内で戦わせることによってそれをリスクにさらすわけにはいかないからね」
一方、ヒュルケンベルグは今回のチームオーダーには「不満」であることを認めているものの、チームがリカルドをオーバーテイクしないように伝えてきた理由は「理解している」と語り、次のように付け加えた。
「今年は多くのポイントを失ってきているし、そのリスクを負うわけにはいかなかったからね。僕たちにはこの結果が必要だったんだ」
もし、ルノーがヒュルケンベルグにチームオーダーを出さず、ヒュルケンベルグがリカルドをオーバーテイクすることに成功していたとしたら、カナダGPを終えて2人のポイントは同じ14ポイントで並んでいたはずだ。
だが、リカルドが6位、ヒュルケンベルグが7位でレースを終えたことで、現時点でリカルドは通算16ポイントでドライバーズランキング8番手、ヒュルケンベルグは12ポイントで同13番手となっている。
レッドブルがヒュルケンベルグ獲得に動き出しているとのうわさもあるだけに、ルノーとしては今後のリカルドとヒュルケンベルグに対する処遇に頭を悩ませることが増えてきそうだ。