レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、F1教委委員たちはマックス・フェルスタッペンに対して厳しすぎると考えている。
●【決勝レース結果】2019年F1第6戦モナコGP 決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
■ペナルティーで表彰台を逃したフェルスタッペン
先週末にモンテカルロ市街地サーキットで行われたF1モナコGP決勝では、ピットアウトしようとしたフェルスタッペンとバルテリ・ボッタス(メルセデス)がピットロードで交錯。その際フェルスタッペンのマシンがボッタスのマシンに接触したことからボッタスは右のウォールにクルマをぶつけてしまい、タイヤにダメージを負ってしまっていた。
モナコGPのF1競技委員たちは、このクラッシュを起こしたフェルスタッペンに違反行為があったとして5秒のタイムペナルティーを科したが、これにより優勝したルイス・ハミルトンに次ぐ2番手でチェッカーフラッグを受けたものの、正式結果ではフェルスタッペンは4位となり表彰台を逃してしまった。
■1レース出走禁止のリスクも増大
さらに、フェルスタッペンにはペナルティーポイントも2ポイント与えられてしまい、累計ポイントが7ポイントとなってしまった。
ペナルティーポイントは1年間有効となっており、フェルスタッペンの一番古いペナルティーポイントが失効するのは今年の第14戦イタリアGP終了後となる。もしそれまでの間にあと5ポイントが追加されると通算12ポイントに達してしまい、その次のレースは出走禁止となってしまうことになる。
2018年には第14戦から17戦までの4レースで合計5ポイントのペナルティーポイントを稼ぎ出した“実績”を持つフェルスタッペンだけに、そのリスクは決して小さくないと考えるべきかもしれない。
■フェルスタッペンだけの責任ではないとマルコ
マルコは、モナコでの一件についてフェルスタッペンの母国オランダの『De Telegraaf(テレグラーフ)』に次のように語った。
「我々はボッタスより前に出ていたんだ。だがどうやらマックスは競技委員たちの目にはあまりよく映らないようだ」
「競技委員たちが彼の大ファンではないということは分かったよ」
マルコはさらに、ドイツのテレビ局『RTL』にも次のように主張している。
「ボッタスの方が後ろにいたわけだし、彼だって道を譲ることは可能だったはずだよ」
しかし、メルセデスのトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)は、フェルスタッペンへのペナルティーは正当なものだったと次のように語っている。
「フェルスタッペンがやったことで2人のレースが台無しになったんだ。彼は表彰台を失ったし、バルテリも順位をひとつ失ってしまった」
■ハミルトンとの接触には“おとがめなし”
さらに、フェルスタッペンはレース終盤にはハミルトンともクラッシュを演じていた。
モナコで数少ない抜きどころのひとつであるターン10への進入時にハミルトンのインサイドに入ろうとしたフェルスタッペンだが、2台が並ぶまでには至らず、そこでフェルスタッペンの右フロントとハミルトンの左リアが接触。ハミルトンはコーナーをショートカットすることでそれ以上のトラブルに発生することを避けていた。
元F1ドライバーのヴァン・デル・ガルデは、そのクラッシュについて次のようにコメントしている。
「軽い接触があったが、彼らはお互いに相手を生かしていた。彼らがお互いにすごくリスペクトし合っていることが分かったはずだよ」
しかし、マルコは「私の意見では、ハミルトンが左に寄せてきたんだ」と語り、あのクラッシュもハミルトンの方により大きな非があったと主張している。
モナコの競技委員たちは、この終盤のクラッシュに関してはレーシングインシデントとしてフェルスタッペンとハミルトンそれぞれに“おとがめなし”との裁定を下している。