昨年ニキ・ラウダの肺の移植手術を担当した医師が、ラウダの余命がそれほどないことは分かっていたと語った。
20日(月)に70歳で亡くなったラウダに対してはすでに数多くの追悼メッセージが寄せられている。
伝えられるところによれば、ラウダが非常勤会長を務めていたメルセデスF1チームでは、今週末に行われるF1モナコGP(26日決勝)にラウダ追悼のための特別カラーリングを施したマシンを持ち込むことになるようだ。
「今週末のモナコはこのニュースで覆い尽くされるだろうね」
『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』にそう語ったドイツ出身の元F1ドライバー、ラルフ・シューマッハは次のように付け加えている。
「彼(ラウダ)とすごく親しかったルイス・ハミルトンにとっては、今週末は恐らくつらいものになるだろう」
一時期、ラウダが順調に回復しているとの報道もあったことから、いつかはラウダがまたF1パドックに復帰することになるだろうと考えていた者も少なくなかったはずだ。
だが、ラウダの手術を担当したヴァルター・クレペトコ医師は、実際のところラウダの症状がかなり悪いのは分かっていたとオーストリアのテレビ局『ORF』に次のように語った。
「我々にとって、彼の死は驚きではなかったよ。今年が始まったころから、それは明らかだったんだ」
「イビサ島でのクリスマス休暇は彼にとっていいことだった。ところが、その後インフルエンザに感染してしまった。最近の数週間においては明らかに状況が悪化していたよ」
クレペトコ医師はドイツの『Bild(ビルト)』にも次のように語っている。
「特定の死因はないんだ。最終的には長いプロセスとなったが、全員が明確な判断をしていた」
「どこかの時点で、あきらめるしかないんだ」
「詳細なことに立ち入るつもりはない。それは家族に任せるべきだからね」
肺の移植手術以前にもラウダは過去に2度にわたって腎臓の移植手術を受けていたが、インフルエンザ感染によって腎機能が著しく低下してしまっていたようだ。伝えられるところによれば、ラウダには人工透析器と人工呼吸器が装着されていたという。
「彼は一度絶望的な状況に陥ったが、奇跡的にそれを乗り越えた」
そう語ったクレペトコ医師は次のように付け加えた。
「それは勇敢かつ力強い戦いだった。だが、残念ながら彼はかつての強さを再び手にすることができなかった。そして家族に看取られながら安らかに眠りについたよ」