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【フェラーリ】F1中国GPでのチームオーダーが大きな話題に

2019年04月16日(火)5:16 am

先週末に上海で行われた今季のF1第3戦中国GP決勝でフェラーリが出したチームオーダーが大きな話題となっている。

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今年の2月中旬から2回に分けて合計8日間で行われたF1プレシーズンテストではフェラーリが最大のライバルであるメルセデスに大きな差をつけたと考えられていた。

だが、実際にシーズンが開幕してみれば、メルセデスが開幕戦オーストラリアGP、第2戦バーレーンGP、そして先週末の中国までの3レースすべてで1-2フィニッシュを達成している。

少なくともバーレーンではフェラーリが予選で1-2を決め、復調の兆しが見られたと考えられていただけに、フェラーリファンの多くが中国ではフェラーリがメルセデスに勝つだろうと考えていたはずだ。

■ルクレールにチームオーダーを出したフェラーリ

こうしたフェラーリの現状に対してフラストレーションをためているイタリアのメディアの中には、セバスチャン・ベッテルではなくシャルル・ルクレールを今後優先していくべきだと主張しているものもある。

バーレーンではベッテルをしのぐ強さを示し、終盤のエンジントラブルさえなければポール・トゥ・ウィンを達成していたはずのルクレールは、中国GPでは予選こそベッテルに後れを取ったものの決勝のスタートでベッテルを追い抜いて3番手に浮上していた。

だが、チームはルクレールに対してベッテルを前に出すよう指示。しかし、ベッテルも前を走るメルセデスについて行くことはできず、なんとか3位表彰台に上るのがやっとだった。

■フェラーリのキャプテンはルクレールに任せろと伊メディア

こうしたことを受け、イタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』は次のように書いている。

「フェラーリはそろそろ自分たちが正しいドライバーを雇ったのだということ、そしてそれはシャルル・ルクレールだということを理解したほうがいい」

「マラネロ(フェラーリ)はキャプテンの腕章をベッテルから取り上げてルクレールに渡すべきだ」

フェラーリが中国GP決勝でルクレールにチームオーダーを出したことに関して批判的な論評をしているメディアはイタリアだけにとどまらない。フィンランドのテレビ局『MTV』は、母国出身のレーシングドライバーであり現在はテレビ解説者を務めるトニ・ヴィランデルの次のようなコメントを伝えている。

「(報酬が)3000万ドルの男と250万ドルの男であれば、すでに序列は明白だよ」

■レース後に大人の対応を見せたルクレール

実際のところ、ベッテルを前に出すように指示されたルクレールが、それに対してチーム無線で不満を訴えていたのは明らかだった。

だが、レース後にその件について質問を受けたルクレールは、レポーターたちが喜ぶようなコメントは行わず、次のように答えた。

「ピットウォールにいる人たちは、僕なんかよりもっと大局的な見方ができるんだよ」

だが、ドイツ出身の元F1ドライバーであり、7度F1王座についたミハエル・シューマッハの弟としても知られるラルフ・シューマッハは『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』に対し、ルクレールはフェラーリによって“犠牲”にされたのだと主張している。

これに対し、ルクレールは次のような反応を示している。

「そこまで言うつもりは僕にはないよ。僕たちはチームなんだ。今日は僕にとってはうまく機能しなかったけれど、僕たちはチームとして最高の仕事をしようと頑張っているよ」

■何かを試す必要があったとフェラーリのボス

そのルクレールのコメントを伝え聞いたフェラーリのチーム代表マッティア・ビノットは次のように語った。

「彼がそういうふうに言ったことをうれしく思うよ。自分が大人であることを示したわけだからね」

「彼のレースが少しばかり不利になったのは事実だし、シャルルがそれによって動揺し、あるいは怒ったとしても、それは当然のことだ。だが、我々はセブ(ベッテル)にスペースを与えて彼がメルセデスのペースについて行くことができるかどうかを見たかったんだ」

「あの段階で、我々が何かを試さなくてはならなかったのは間違いないからね」

しかし、そのフェラーリの策も結局のところ無駄に終わってしまっていた。中国でもフェラーリにはメルセデスとのギャップを縮めるだけの力がなかったのだ。

■今後2週間が重要だとベッテル

「僕たちは彼らにくっついていこうと頑張ったんだけど、そうはできなかった」

そう語ったベッテルは、F1がヨーロッパを戦いの場に移す第5戦スペインGP(5月12日決勝)からフェラーリが反撃に転ずるためには、次戦アゼルバイジャンGP(28日)までに何をするかが重要になると次のように付け加えた。

「これからの2週間は僕たちにとってものすごく重要になると思う。来月以降僕たちがどこを目指すべきかを理解するためにね」

そして、ベッテルも中国でのチームオーダー問題に関しては多くを語ろうとしなかった。

「答えたいとは思わないよ。僕はみなさん(レポーター)の仕事の仕方にはあまり賛成できないしね」

■この問題はどのチームにも起こりうるとメルセデスのボス

一方、メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)は、フェラーリがこうしたチームオーダー問題を抱えることになるのはルクレール起用を決めたときから明らかだったと次のように語っている。

「こういう形のやり方を取り始めれば、パンドラの箱を開けることになるのは明らかなんだ」

「我々もニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンで、そしてその後はルイスとバルテリ(ボッタス)でこういうことを経験してきているよ」

そう語ったヴォルフは次のように付け加えた。

「これはフェラーリに限った問題ではないんだ。どのチームでもトップレベルの2人を乗せればこういう問題を抱えることになるのさ」

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