F1バーレーンGPでトラブルを抱えてしまったシャルル・ルクレール(フェラーリ)のエンジンが、来週末に行われる中国GP(14日決勝)でも継続使用されることになるようだ。
■バーレーンのトラブル原因は燃料インジェクター
イタリアのテレビ局『Sky Italia(スカイ・イタリア)』が報じたところによれば、バーレーンGP決勝でルクレールのポール・トゥ・ウィン達成を妨げることになったエンジントラブルの原因は、シリンダーに燃料を噴出するインジェクターの損傷であったことが特定されたという。
その結果、トラブルを抱えたインジェクターを交換することにより、エンジン本体はバーレーンと同じものを上海でも使用できる見通しが立ったということだ。
これはフェラーリとルクレールにとってはうれしい知らせであることは確かだ。
今年もPU(パワーユニット)と呼ばれるエンジンの主要コンポーネントのうちICE(内燃機関)、ターボチャージャー、MGU-H(熱エネルギー回生システム)は年間3基まで、MGU-K、ES(バッテリー)、CE(電子制御システム)は2基までと使用できる数がルールで定められており、それを超えるコンポーネントを投入した場合にはそれに応じてグリッド降格ペナルティーが科されることになる。
わずか2レースを行った時点で新たなエンジンコンポーネントを投入することになれば、シーズン後半のどこかでグリッド降格ペナルティーを受けることになる可能性が大きくなるだけに、今回それを回避できたのはルクレールにとっては不幸中の幸いだと言えるだろう。
■中国での優勝候補筆頭はフェラーリだとメルセデスのボス
さらに、フェラーリにとっては中国GPに向けてもうひとつうれしいニュースがあるようだ。
それは、最強ライバルであるメルセデスのトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)が、自分たちは簡単にフェラーリとのギャップを縮めることはできないだろうと認めたという報道だ。
「エンジンのルールはすでに非常に成熟しており、ひとつの改良から次の改良の間に得られるゲインは1000分の数秒だよ」
「フェラーリはストレートでは我々よりもコンマ5秒速い。だから、我々としてはそのレベルに慣れていかないとならないだろうね」
そう語ったヴォルフは来週末に行われる中国GPでも苦戦は必至だと次のように付け加えた。
「ルクレールのクルマにどんな故障が起きていたのか、私は知らない。だが、もし彼らがあのパワーを維持できるとしたら、彼らが優勝候補だよ。なぜなら、上海はバーレーンよりも直線部分が多いからね」
バーレーンではルクレールのエンジントラブルによって棚ぼた的に2戦連続での1-2フィニッシュを達成したメルセデスだが、フェラーリに信頼性の問題が発生しなければ、中国GPでその記録を3に伸ばすのは難しくなるかもしれない。