2015年シーズンまでフェラーリのスポーティングディレクターを務めていたマッシモ・リボラは、フェラーリが2019年シーズンにセバスチャン・ベッテルのチームメートとなるシャルル・ルクレールにも公平なチャンスを与えることを期待している。
■今年のルクレールはベッテルの支援役?
昨年ザウバーからF1デビューを飾ったばかりのルクレールだが、2年目にしてF1の名門チームであるフェラーリのドライバーを務めることになっている。
ベッテルよりも10歳若い21歳のモナコ出身ドライバーには、これまで事実上のナンバー1ドライバーと位置づけられてきていたベッテルを必死にさせるだけの力量があると考えているF1関係者も多い。
その一方で、フェラーリは明確にベッテルをナンバー1ドライバーとして処遇し、まだ経験の浅いルクレールはそのサポート役という位置づけになるだろうと見ている者たちもいる。
1978年のF1チャンピオンであるアメリカのマリオ・アンドレッティは2019年のフェラーリのドライバー体制についてイタリアのテレビ局『Sky Italia(スカイ・イタリア)』に次のように語った。
「ルクレールはかなり優秀だし、素晴らしい将来が待ち受けているだろう。セルジオ・マルキオンネ(2018年に死去した前フェラーリ会長)はずっと彼をフェラーリに連れてくることを計画していたんだ」
「だが、彼にとって適切なタイミングなのかどうかは私には分からない。どんなチームもナンバー1とナンバー2ドライバーがいなくてはならない。2人のナンバー1がいては決してうまくいかないよ」
■ドライバーに公平な処遇を期待するリボラ
だが、2016年からフェラーリの若手育成アカデミー責任者を務めてきたリボラは、そこに所属していたルクレールのことをよく知っている人物でもある。
そのリボラは、ルクレールにはベッテルに勝てるだけの力があると考えているようだ。
「私はフェラーリがどちらにも同じチャンスを与えるだろうと信じているし、そう願っているよ。そして強い方が勝つことになるだろう」
イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』にそう語ったリボラは次のように付け加えた。
「シャルルにとって2019年は学ぶためのシーズンだと考えられているのは確かだ。だが、彼が最初から勝ちに行こうとするのは間違いないよ」
■ルクレールはアロンソに似たタイプ
1998年にミナルディのマーケティング担当者としてF1でのキャリアをスタートさせたリボラは、同チームがレッドブルに買収されてトロロッソと名前を変えた後もチームマネジャーとして活躍。2009年にフェラーリに移籍し、スポーティングディレクターとして手腕を振るった経歴を持っている。
そのリボラは、ルクレールはどちらかと言えばベッテルよりは昨年限りでF1を引退したフェルナンド・アロンソに似たタイプだと次のように語っている。
「私はセバスチャンと一緒にやる機会があった。彼がトロロッソでデビューしたときにね。そしてアロンソとも彼がミナルディでデビューしたときに一緒だったんだ」
「予選において同じ怒りを示し、常に素晴らしい結果を示すという同じ能力を持っていたのはフェルナンドの方だね」
昨シーズン限りでフェラーリを辞した47歳のリボラは、2019年は世界最高峰二輪選手権であるMotoGPに転向し、イタリアの名門アプリリア・レーシングの最高責任者を務めることになっている。