ロバート・クビサの父親が、2019年に息子がF1ドライバーとして復帰することになったのは“奇跡だ”と語った。
2006年に初のポーランド人F1ドライバーとしてBMWザウバーでF1デビューを飾ったクビサは2008年の第3戦バーレーンGPで初ポールを獲得、同年の第7戦カナダGPで初優勝を飾るなど、着々とトップドライバーへの道を歩んでいた。
ところが、クビサはロータス在籍時の2011年シーズン開幕前に参加したラリーレースで大クラッシュを喫してしまう。幸い大けがを負った右腕の切断こそ免れたものの、その腕には生涯消えることのない障害が残されている。
しかし、F1復帰に情熱を燃やしたクビサはラリーでモータースポーツの世界に復帰すると、その後も懸命のリハビリを続け、2018年にはウィリアムズとリザーブ兼開発担当ドライバーとして契約。
そして2019年には晴れてウィリアムズの正ドライバーとして9年ぶりにF1グリッドに戻ってくることになっている。
クビサの父であるアルトゥール・クビサは母国ポーランドのテレビ局『TVN24』に次のように語った。
「もし奇跡というものがあるならば、確かに、これは奇跡だよ」
2011年にクビサの腕の手術を担当した医師であるマリオ・イゴール・ロッセーロ博士も当時のことを振り返りながら次のように語った。
「我々は彼の生命を救おうと懸命だった。彼が右腕を失わずに済んだのはおまけのようなものだよ」
アルトゥールも続けた。
「彼にとっては悪戦苦闘の連続だったよ」
「6か月が経過したときのことを覚えているが、彼の足が治ったかと思ったら、またその足を骨折してしまったんだ。そういうことがあれば精神的に参ってしまうものだよ」
クビサも、F1に復帰するという希望をほぼ失いかけたこともあったと認めている。
「僕がどれほどの手術を受けたか、それをはっきり知っている人は誰もいないよ」
そう語った33歳のクビサは次のように付け加えた。
「間違いなくF1のレース数より多いし、その多くは不成功で僕はそのつど6か月前の状態に後戻りしていたんだ」
アルトゥールは、こうした困難を乗り越えてF1復帰を果たす息子を誇りに思うと次のように付け加えている。
「今、私は彼がいるべきところに戻ってきたことをうれしく思っている。私は彼の父親であることが誇らしいよ」