今季のF1第14戦イタリアGP以降メルセデスのルイス・ハミルトンに4連勝を許し、第17戦日本GPでは表彰台にすら上ることができなかったフェラーリだが、先週末に行われた第18戦アメリカGPでは復調の兆しを見せた。
キミ・ライコネンがロータス在籍時の2013年開幕戦以来となる勝利をあげ、スタート直後の接触とスピンにより一時最後尾近くまで順位を下げていたセバスチャン・ベッテルもバルテリ・ボッタスをとらえてメルセデスの一角を切り崩すことに成功。ベッテルは表彰台にこそ届かなかったものの4位まで追い上げてみせた。
一方、メルセデスはポールポジションからスタートしたハミルトンはレッドブルのマックス・フェルスタッペンにもかわされて3位に後退。4番グリッドスタートだったボッタスは5位でレースを終えている。
■お互いに相手の合法性を疑問視
今季、メルセデスとフェラーリはお互いに相手チームのF1マシンの合法性に疑問を呈すことでプレッシャーをかけあってきていた。
メルセデスはフェラーリが搭載するバッテリーが基準値を超えるパワーを発生しているのではないかとの疑いを持ち、これを統括団体であるFIA(国際自動車連盟)に訴えていた。
一方のフェラーリは最近メルセデスが投入した新リアホイールに空力ルール違反の疑いがあると主張。ホイールに開けられた穴が禁止されている可動空力パーツにあたるのではないかとの考えを示していた。
これに関してはF1競技委員長を務めるチャーリー・ホワイティングが、特に問題はないと判断したという記事が報じられていた。
だが、それで納得できなかったフェラーリはアメリカGP終了後に正式な申し立てを行う準備をしていたと伝えられている。
■問題のホイールの穴をふさいでいたメルセデス
そして、そうしたフェラーリの動きを察知したメルセデスでは、アメリカGPの前にそのホイールの穴をシリコンで埋めていたという。
フェラーリに関しては、空力パーツを最新のものから旧タイプのものに戻したことも伝えられていたが、アメリカGPで突然フェラーリのパフォーマンスが向上し、逆にメルセデスの勢いが弱まったのはこれらの影響があったためではないかと考えられている。
■メキシコでは厳しい戦いを予想するメルセデス
とはいえ、今季もメルセデスがドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトル両方を獲得する可能性が極めて高くなっているのは間違いない。
特にドライバーズタイトルに関しては今週末に行われるF1第19戦メキシコGPでハミルトンが7位以上でフィニッシュすればその瞬間にタイトル獲得が決定することになる。
「我々は戦いを有利に展開できるし、両タイトル獲得に向けてプッシュし続けるよ」
メキシコGPを前にそう語ったトト・ヴォルフ(メルセデス/エグゼクティブディレクター)は次のように付け加えた。
「(メキシコは)これまで我々にとっては苦手なサーキットのひとつだったし、厳しい戦いになると予想している」