F1モータースポーツ担当マネジングディレクターのロス・ブラウンは、今季のセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)は自分を見失っているようだと見ている。
■ミスを多発する最近のベッテル
今シーズン中盤まではルイス・ハミルトン(メルセデス)と互角以上の戦いを展開していたベッテルだが、最近のレースではミスを犯すことが多くなっており、メディアから痛烈な批判を受けている。
そのベッテルは、オースティンで先週末に開催されたF1アメリカGPでもミスを犯してしまった。それもひとつではない。
金曜フリー走行1回目で赤旗無視を犯して決勝で3グリッド降格ペナルティーを受けたベッテルは、決勝でもスタート直後にダニエル・リカルド(レッドブル)と接触してしまい、スピンを喫して最後尾近くにまで順位を落としてしまった。
■こうしたミスは偶然ではないとブラウン
「ベッテルを責めたいとは思わないが、こういうミスが起きたのは偶然ではなさそうだ」
かつてミハエル・シューマッハを擁してフェラーリが黄金時代を築いた時期にフェラーリの最高技術責任者を務めていたブラウンはドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』にそう語ると次のように付け加えた。
「こうしたミスが続くということは、ベッテルが現在少しばかり自分を見失っていることを示すものじゃないかな。フェラーリはシーズン開幕時から本当に戦闘力のあるクルマを彼に提供できていただけに残念だよ」
■フェラーリにも改善の余地あり
しかし、ブラウンはすべての責任をベッテルに押しつけるのも間違いだと考えている。
「フェラーリはセバスチャンの才能を完全に発揮させることができる方法を見つけていかなくてはならないよ」と語ったブラウンは次のように付け加えている。
「理由もなく4回もF1チャンピオンになれるということはないし、セバスチャンだって勝ち方を忘れたわけじゃないからね」
かつてレッドブルでベッテルのチームメートを務めていた元F1ドライバーのマーク・ウェバーも同じような見方をしている。
「F1のように信じられないほど長い戦いとなるシリーズでは、ドライバー管理がものすごく重要なんだ」
ウェバーはそう主張すると、メルセデスを率いるトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)やレッドブルのクリスチャン・ホーナー(チーム代表)を引き合いに出しながら、次のように付け加えた。
「フェラーリにはトトもしくはクリスチャンのように采配を振るうことができる人物が必要だね」
■メキシコで今季のチャンピオンが決まる条件は?
ちなみに、オースティンで開催された前戦F1アメリカGPではドライバーズタイトルは確定せず、今週末に行われる第19戦メキシコGP(現地時間28 日決勝)に持ち越されている。
だが、今週末のレースでハミルトンが7位以上でフィニッシュすれば、ベッテルの順位に関係なく、その時点で通算5回目のF1チャンピオンに輝くことになる。
ドライバーズタイトル確定が第20戦ブラジルGP(11月11日決勝)に持ち越される条件は、ベッテルが優勝し、ハミルトンが8位以下に終わったときだけだ。
つまり、メキシコでハミルトンのドライバーズタイトル獲得が確定する確率はほぼ100%に近いと考えていいだろう。