2018年シーズン前半まではメルセデスと互角以上の勝負ができていたフェラーリが最近失速してしまったのはどうしてなのか?
F1関係者の中にもこの疑問に対して明確な回答ができる者はいないようだ。
■FIAのセンサーが原因?
最近の報道によれば、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が最近フェラーリF1マシンのPU(パワーユニット)に不正が行われていないかどうかをチェックするため新たなセンサーを設置したが、これがフェラーリ失速の原因となっているのではないかとの仮説もあるようだ。
そのセンサーはいったいどういうものなのか説明をして欲しいと尋ねられたFIAのチャーリー・ホワイティング(F1競技委員長)は、それは「できない」と答え、次のように続けた。
「そうするためには、私はフェラーリのクルマの詳細について語るしかない。そうすればほかのチームたちにもフェラーリのクルマに関するいろんなことが分かってしまうことになる」
「私がそういう状況を招くことなどできないよ」
■ライバルのハミルトンも首をかしげるフェラーリの異変
先週末に鈴鹿で行われたF1第17戦日本GPで今季9勝目をあげ、今季のF1ドライバーズタイトルをほぼ手中に収めたルイス・ハミルトン(メルセデス)が最近のフェラーリの調子について次のように語った。
「こういうことになるとは予想していなかったよ」
「シーズン中盤までは彼ら(フェラーリ)はすごく強かったし、モンツァ(第14戦イタリアGP)へ行ったときもまだかなり強かったよ。ところが、その後のシンガポール(第15戦)から弱くなり始めたんだ」
「どうしてなのか、その答えは僕にはまったく分からないよ。セバスチャン(ベッテル)に聞くべきだね」
■マルキオンネ死後の内部闘争が原因との説も
こうした中、フェラーリの母国イタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』は、フェラーリのパフォーマンスが急に低下してしまったのは7月に前会長のセルジオ・マルキオンネが死去したことと関係があるのではないかとの推論を展開している。
『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』は、前会長のマルキオンネこそフェラーリ内部のバランスをうまくとっていた人物であり、マルキオンネの死後、フェラーリ内部は2つのグループが反目し合う状態となってきているようだと指摘している。
その2つのグループだが、ひとつはチーム代表を務めるマウリツィオ・アリバベーネ派であり、もうひとつはチーフテクニカルオフィサーを務めるマッティア・ビノット派なのだという。
最近、アリバベーネが今シーズン限りでF1チームから離脱し、ビノットがその後任として新たなチーム代表のポジションに就くのではないかとの報道も行われていた。
『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』は、「彼らの関係は過去最悪の状態だと言われている」と報じている。