フェラーリの地元イタリアでまたセバスチャン・ベッテルに対する批判的報道が増えてきている。
今季のフェラーリF1マシンは過去4年にわたって最強を誇ってきたメルセデスをしのぐほどの性能を持っていると言われている。だが、実際のところ、ベッテルは今年何度か致命的なミスを犯してきており、自分で自分の足を引っ張ってしまっている感が否めないのは事実だろう。
先週末に行われたフェラーリのホームレースF1イタリアGPにおいても、1周目に宿敵ハミルトンと接触してコースオフしたベッテルはそこで最後尾にまで順位を下げてしまっていた。
たとえあそこでいったんハミルトンに先行を許していたとしても、もし3番手の位置でレースを続けていればその後の展開は大きく変わっていただろう。
最終的には4位まで順位を戻したベッテルだが、3番グリッドからスタートしたハミルトンが逆転優勝を飾ったことで両者のポイント差は30にまで広がってしまった。決して逆転不可能な差ではないものの、残り7レースとなった時点での30ポイント差は非常に大きいのが事実だ。
自分のホームレースであった第11戦ドイツGP決勝でもトップを走りながら信じられないクラッシュを演じてノーポイントに終わるという痛い思いをしたベッテルだが、モンツァでも無理をして墓穴を掘ってしまった感は否めない。
そうしたことを受け、イタリアのメディアたちはフェラーリに対する手厳しい批判報道を展開している。
例えば、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、ベッテルだけでなくフェラーリチームもみすみす自らチャンスを棒に振ったことも多いと主張している。
「マラネロ(フェラーリ)はやることなすこと間違っている」
「ルイス・ハミルトンはまたも素晴らしいレースをしてみせた。あの才能と勝利への決意にかなうものは誰もいない」
また、『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』は、「フェラーリのクルマでは負けているものの、メルセデスにはハミルトンという切り札がある」と書き、次のように付け加えている。
「速いだけではだめだ。勝ち方を知らないとね」
『La Repubblica(レプブリカ)』は、フェラーリはモンツァでの勝利を「投げ捨てた」のだと切り捨てている。
さらに、『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』はベッテルについて次のように書いている。
「モンツァで、彼は妥協というものを知らないドライバーであることを自分で確認したことだろう。それは大きな強みでもあり、大きな弱みでもあるが」
そして、『La Stampa(スタンパ)』はベッテルはまだハミルトンの域には到達できていないと示唆し、次のように書いている。
「ハミルトンは完ぺきだ。状況が求めるときには冷静沈着な傍観者にもなれる」