ルイス・ハミルトン(メルセデス)が、フェラーリのF1マシンには何か巧妙な“トリック”が使われているのではないかとの疑問を抱いている。
ハミルトンはスパ・フランコルシャンで行われたベルギーGP決勝をポールポジションからスタートしたものの、スタート直後に2番グリッドスタートのセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)にあっさりと先行を許すと、その後は順位をばん回することができず2位でチェッカーを受けた。
■フェラーリの速さに疑問を抱くハミルトン
「彼ら(フェラーリ)のクルマにはいくつか巧妙な仕掛けがあるよ」
ハミルトンはレース後にそう語ると次のように付け加えた。
「とにかく、彼らはターン1からオー・ルージュへと向かうところで僕たちよりも大きなパワーを発揮することができるし、それをストレートにまで持続できるんだ。どうやっているのかは本当に分からないけれどね」
■フェラーリに不審な点はないとFIA
今シーズン前半にはフェラーリのパワーユニットには何か違法な仕掛けが施されているのではないかとの疑惑の声が上がったことがあった。だが、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は調査の結果非合法なものは何も見いだせなかったとの結論を出していた。
ベルギーGP決勝後にハミルトンがあらためてフェラーリF1カーの合法性に疑念を抱くコメントを行ったことに関して質問を受けたFIAのチャーリー・ホワイティング(F1競技委員長)は次のように答えた。
「それは愉快だ。我々はフェラーリのクルマに関して多くのことを知っているが、ルイスはそうではないからね」
「FIAは何が問題なのかが分かっているし、我々は満足しているよ」
■フェラーリが不正をしているという意味ではないとハミルトン
ハミルトンのコメントに関し、記者の中にはフェラーリが不正を行っていると非難したものだと受け取った者もいたようだ。だが、ハミルトンはそういうつもりではなかったと次のように説明している。
「いや、どこのクルマにだって巧妙な仕掛けはあるものさ。僕はその言葉を何か特別なものだという意味で使ったんだ」
「僕は何か不正なことが行われていると言っているんじゃないよ。僕はまったくそうなことは思っていないし、彼らが何か不正なことをしていると僕が言ったなどと僕の言葉を曲げて伝えるようなことはしないでよ。彼らはそんなことはしていないんだから」
■ハミルトンがそう言うのも無理はないとヴォルフ
だが、メルセデスF1チームを率いるエグゼクティブディレクターのトト・ヴォルフは、今回優勝争いに敗れたハミルトンがそういう疑念を抱くのも無理からぬことだと考えている。
「コース上で負けたときには、自分自身やライバルに目を向けることになる。そして、もし納得のいく説明が見つからなければ、よからぬことだって考えてしまうものさ」
そう語ったヴォルフは次のように付け加えた。
「だが、FIAはすべてをうまく管理していると思っているし、彼らに大きな信頼を置いているよ」