メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)が、今後のレースで常にチームオーダーを発令することは考えていないと主張した。
■ドイツGPでチームオーダーを発令したメルセデス
ホッケンハイムで先週末に行われたF1ドイツGP決勝では、終盤に優勝を争うメルセデスのルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスがホイール・トゥ・ホイールの激しい攻防を繰り広げ始めた。
だが、その後ボッタスが意図的にペースダウン。明らかにこれはチームから2番手の位置をキープするよう指示が出されたことによるものだった。
メルセデスがランキングトップの座に返り咲くことが確実となっていたハミルトンを優先するのはある意味では理にかなっているとも言えるだろう。かたやボッタスのドイツGP後のランキングはハミルトンとは66ポイント差の4番手だ。
■ドイツではチームの利益を最優先しただけ
だが、今季の残りのレースでもボッタスがナンバー2ドライバーとして処遇されることになるのかと質問されたヴォルフは「ノー」と答え、次のように続けた。
「F1で最も重要なことはレースをすることだ」
「我々はこれまでも言い続けてきたが、選手権が残り4分の1のところまできて、その時ひとりのドライバーが大きなアドバンテージを持っていたなら、我々としてもあまり人気のないやり方(チームオーダー)をすることになるだろうね」
「だが、そうすべき時はまだ来ていないよ」
そう語ったヴォルフは、ドイツGP決勝でチームオーダーを出したのは例外的なことだと次のように主張した。
「今回はチームとしての戦略を用いた。それによって2台とも完走することが保証されたんだ。前にも言ったが、もしバルテリがリードしている状況であったならば、我々は彼に有利な判断を行っただろうね」
■チームの考えは理解できるとボッタス
ドイツGP決勝で一度はハミルトンの前に出るシーンも展開していたボッタスだが、今回のチームの判断には納得していると次のように語った。
「それも仕事の一部なんだ」
「僕たちは自由にレースをすることが許されている。だけど今のF1カーで追い抜こうとすればかなり速くなければだめなんだ。それにコンディションだって常に当てにならない」
「だから、チームにとって無用のリスクを負うことは意味のないことなのさ」
そう語ったボッタスは次のように付け加えた。
「僕はこのことで気分を害したりはしていないよ」