7月4日付でマクラーレンのスポーティングディレクターに就任したジル・ド・フェランが、マクラーレンが再び成功を収められるようになるには「しばらく時間がかかるだろう」と語った。
■マクラーレンの救世主となるかド・フェラン?
2015年からホンダと組んで3年間を戦ってきたマクラーレンだが、この間チームが下位に沈んだのはホンダPUの責任であり、自分たちのシャシーにルノーPUを搭載すればすぐにでも優勝争いに加われるはずだと主張していた。
ところが、ルノーPUにスイッチしたマクラーレンは、トップ争いに食いこむどころか、今季も現時点では3強チームに加えてルノー、ハース、フォース・インディアにも上に立たれてコンストラクターズランキング7番手につけている状態だ。
マクラーレンはこうした現状を打破するために人事改編に着手。レーシングディレクターを務めていたエリック・ブーリエがチームを去り、その事実上の後任として元CARTチャンピオンであり、インディ500を制覇した実績を持つド・フェランをスポーティングディレクターに指名したのだ。
■株主たちの信頼も得ているとド・フェラン
ド・フェランは母国ブラジルの『Globo(グローボ)』の取材を受けると次のように答えた。
「ザック(ブラウン/チームCEO)が言ったように、チームを再編するにはもうしばらくかかるということは分かっている」
だが、ド・フェランはマクラーレンには今後反撃していく力があり、バーレーン国営ファンド、マンスール・オジェ、マイケル・ラティフィといったチーム大株主たちからも全面的な支援を受けていると次のように付け加えている。
「私は彼らと会ったよ。繰り返すが、非常に大きな支援を得ている」
■マクラーレンの管理組織には疑問の声も
F1関係者の中には、ブーリエが去ったとは言っても、それでもまだマクラーレンには管理職が多すぎるのではないかとの指摘もある。数年前にはメルセデスもそれに近い管理体制を有していたが、現在はより命令系統がすっきりしたものとなっている。
そのことについて質問を受けたド・フェランはほほ笑みを浮かべながら次のように答えた。
「確かにね。だが、あそこ(メルセデス)ではそれでうまくいったんじゃなかったかな?」
「さっきも言ったように、月への道のりに最初の一歩が刻まれたところなんだ。私はチーム体制になんら問題はないと思っているよ」
■マクラーレンのあだ名は「チーム・アロンソ」
かつてBARホンダのスポーティングディレクターを務めていたこともあるド・フェランだが、今年の5月にマクラーレンとコンサルタント契約を結ぶと、そのわずか2か月後にはスポーティングディレクターに抜てきされたわけだ。これに関しては、インディ500での優勝を目標にかかげるフェルナンド・アロンソが後ろで糸を引いていたのだと考えている者も少なくない。
実際のところ、F1パドックではマクラーレンのことを「チーム・アロンソ」と陰で呼ぶ者が増えてきているのだという。
「私がここに来ることができた理由は、私自身の技量によるものだと信じたいね」と笑いながら語ったド・フェランだが、アロンソのマクラーレン内部における政治力について質問されると次のように答えている。
「彼は自分が何を話しているのかよく分かっているんだ。彼が何かを口にするときは、注意深く聴くようにしたほうがいいよ」