フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)は、F1のポイントシステムを変更することが今後に向けて好ましいことかどうかは分からないと考えているようだ。
■新ポイントシステム導入が検討課題に
今季のF1第10戦イギリスGPが開催されたシルバーストンで、F1意思決定機関のひとつであるストラテジーグループにおいて新ポイントシステム導入が提案されていたことが明らかとなった。
これは、現在1位から10位までのドライバーに与えられているポイントを1位から15位にまで付与するという案だと伝えられている。
その新ポイントシステムが導入されれば、現在ではポイントをとることが困難な小規模チームのドライバーにもポイント獲得のチャンスが広がり、よりF1選手権が活性化されるという期待もあるようだ。F1チームらの合意がとれれば、2020年シーズンから新システムに変更される可能性があると伝えられている。
■アロンソはシステム変更に疑問
だが、アロンソはその新ポイントシステムについて、2014年の日本GP決勝で起きた事故により翌2015年に他界したジュール・ビアンキ(当時マルシャ)に言及しながらドイツの『sport.de』に次のように語った。
「上位のドライバーたちが常にポイントを獲得しているわけだから、そこで2ポイントとれればすごく重要なものとなる」
「僕はジュールがモナコで9位に入ってポイントを獲得したとき(2014年)のことを覚えているよ。あれはまるで奇跡のようだったし、このスポーツにとって素晴らしい瞬間だった」
■F1ポイントシステム変遷の歴史
ちなみに、F1のポイントシステムはこれまでにも何度か修正が加えられてきている。
現在のF1選手権がスタートした1950年から1959年までは1位から5位にまでそれぞれ8、6、4、3、2ポイントが与えられるとともに、ファステストラップを記録したドライバーには別に1ポイントが与えられていた。
1960年には6位入賞者にも1ポイントが与えられることとなり、ファステストラップへのポイント付与は廃止。1962年には優勝者に与えられるポイントが1ポイント加算されて9ポイントとなり、このシステムが1990年まで継続されていた。
1991年にはさらに優勝者のポイントだけが10ポイントに増やされ、2003年には8位までがポイント付与対象となり、それぞれに10、8、6、5、4、3、2、1ポイントが与えられることとなった。
そして、2010年にそれまでのシステムが大幅に修正され、1位から10位まで現在と同じ25、18、15、12、10、8、6、4、2、1ポイントが与えられることになり、そのシステムが現在まで継続運用されている。
なお、2014年には最終戦の獲得ポイントが2倍になるというシステムが導入されたが、これは1年限りで廃止されている。
■注目が集まる今後の展開
アメリカのインディカーシリーズなどでは原則として参戦したドライバー全員にポイントが与えられるシステムを採用しているほか、ポールポジションや最多ラップリードに対してもポイントが与えられるルールとなっている。
たとえレースでリタイアとなっても最終順位によって必ずポイントが獲得できるということになれば、現在のF1でときどき見られるような、ポイント獲得のチャンスが消えた場合に意図的にリタイアするといったことは原則的に少なくなると考えられる。
しかし多数のドライバーにポイントを付与することになればシステム運用が複雑になることや、アロンソが指摘したようにポイントの価値が相対的に下がるといった意見もあり、今後F1ポイントシステムに関する議論がどういう展開を示していくのかに注目が集まりそうだ。