マクラーレンが進めようとしていたインディカー・シリーズへのフル参戦計画が棚上げされることになったようだ。
マクラーレン・レーシングCEOのザック・ブラウンは、母国アメリカで最大のフォーミュラカーシリーズであるインディカーに2019年からフル参戦を開始する準備を進めていると伝えられていた。
■大株主たちが計画のストップを指示
だが、マクラーレンにとって本家とも言えるF1での不振が続く中、チーム内にはそうした動きを快く思わないスタッフも多く、マクラーレンのマネジメントが求心力を失ってきているようだとのうわさも強くささやかれていた。
そんな中、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が報じたところによれば、マクラーレン・グループの大株主であるマンスール・オジェとバーレーン王立ファンドのマムタラカトがインディカー参戦計画を“保留”とすることを求めたのだという。
■アロンソがインディ500を戦う可能性はある
ブラウンがインディカーチーム立ち上げに動いたのは、現在マクラーレンに所属するフェルナンド・アロンソの目標であるインディ500制覇を支援することがその目的のひとつだと考えられている。
だがブラウンは、仮にマクラーレンがインディカー参入を断念してもアロンソが世界3大自動車レース制覇に向けて唯一残されているインディ500での勝利に挑戦するのは可能だと次のように示唆した。
「フェルナンドが来年どうするかに関してはいくつもの選択肢があるよ」
「彼は本当に3冠(世界3大レース制覇)を達成したいと思っているし、我々も彼と一緒にそうしたいと思っている。今のところ我々は来年のことについての話し合いはしていないが、あらゆる可能性があるよ」
■マクラーレン人事への関与を否定するアロンソ
今週、レーシングディレクターを務めていたエリック・ブーリエの離脱を含む人事体制変更を明らかにしたマクラーレンだが、フェラーリ時代から共に仕事をしてきたアンドレア・ステラがパフォーマンスディレクターに昇格したのを始め、インディ500での優勝経験を持つ元CARTチャンピオンのジル・ド・フェランがスポーティングディレクターに就任したことから、今回の人事の影にはアロンソが大きな役割を演じたものと考えている者も多い。
実際、ブラウンも今回の人事にはアロンソも関与していたとの発言を行っている。
だが、アロンソはF1イギリスGPが開催されているシルバーストンで次のように語った。
「僕は意見を求められたことはなくて、ただ(事前に)知らされただけだよ」
「ストフェル(バンドーン)だって知らされていた。もちろん、ザックはアンドレアやジルに関して僕の意見を聞きたがった。だけど僕は彼らが下すすべての決定を尊重しているよ」
■マクラーレン復活には時間がかかるとブラウン
マクラーレンは、昨年ホンダPUからルノーPUにスイッチすることを発表した際には今年からすぐにトップ争いができるようになると豪語していた。だが、ブラウンはそれは間違いだったと認め、マクラーレンが今後またF1で勝利できるようになるのはまだかなり先のことだと語っている。
「それに2年かかるのか10年かかるのか、あるいはその間にそうできるのか、私には分からない。だが現実的に考えて、これを解決するにはまだ時間がかかるだろう」
そう述べたブラウンは次のように付け加えている。
「我々は自分たち自身やファンに対して非常に現実的かつ正直であらねばならないし、長い旅になると言わざるを得ないよ」