ホンダが、来季はレッドブルとトロロッソにまったく同じPU(パワーユニット)を供給することになると明言した。
■ホンダとトロロッソの関係に変化は?
昨年までマクラーレンにワークスPUを供給していたホンダだが、今季はレッドブルのジュニアチームであるトロロッソにPU供給を行っている。
F1チームとしては小規模チームに分類されるトロロッソだが、今季はホンダからいわゆる“ワークス待遇”を受けていることが明らかとなっている。
2019年からシニアチームのレッドブルもホンダからPU供給を受けることが確定した中、ホンダにとってワークス扱いとなるのはレッドブルとなり、トロロッソはどちらかと言えば顧客チームに近い存在へと変わるのではないかとの推測もなされていたようだ。
■レッドブルとトロロッソに格差はつけないとホンダ
だが、ホンダのモータースポーツ部長を務める山本雅司は19日(火)にレッドブルとの契約が正式発表された後、次のように語った。
「我々としてはレッドブルとトロロッソの両方に同じ仕様のものを供給することになります」
「メーカーとしての視点からすれば、現在のレギュレーションにおいてすべてのチームに同じパワーユニットを供給することが義務付けられていますし、どちらのチームがワークスでどちらが顧客だと区別することに意味はありません」
「そういう意味では、今回の契約は3者を同じ立場に置くものです。ホンダとトロロッソの現在の関係に変化が生じることはありません」
■事実上のダブルワークス体制か?
実際のところ、ドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』は、レッドブルとトロロッソはホンダと組むことでこれまでも財政的にはかなりいい条件を享受できるはずだと報じている。
伝えられるところによれば、ルノーではこれまで顧客チームに対して年間1800万ユーロ(約23億円)をPU供給費用として求めていたと考えられている。レッドブルとトロロッソが実際にホンダとどういう内容の契約をかわしているのかは分からないが、ルノーに比べればかなりの好条件となっているはずだと考えられているようだ。
山本はこの件については次のように語るにとどまった。
「この契約の詳細に関してプレスリリースに書かれていること以上のことを明らかにするつもりはありませんが、どちらに対しても非常に公平な条件となっていると言っておきます」
■レッドブルへの供給は大きなプレッシャーに
だが、山本も現在のF1において3強チームのひとつに数えられるレッドブルにPUを供給するということはホンダにとってはかなりのプレッシャーになると認めている。過去3年にわたって行ってきたマクラーレンとの共同プロジェクトに失敗したという経緯があるだけに無理もないことだろう。
「(レッドブルは)トップチームのひとつです。ホンダの全メンバーにとってはさらなるやる気につながるものですが、同時に大きなプレッシャーと責任が生まれることにもなります」
「しかしながら、常に非常に高い目標を求めていくというのがホンダの気質です。そしてそれこそが我々がホンダであることのゆえんだと思っています」
そう語った山本は次のように付け加えている。
「始めるにあたっては、我々はレッドブルのパフォーマンスが現在のレベルよりも下がるのを見たいとは思っていません。しかし、我々さらに上を狙っていますし、現在の彼らよりもさらにうまくやることを目指していきます」