F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は、来季のF1レギュレーションを一部見直し、決勝で搭載できる燃料をこれまでの105kgから110kgに増やすことをすでに決定している。
これは、ドライバーたちが燃費を気にすることなくフルパワーで走行できる状態をこれまでよりも長くすることで、より白熱したレース展開の実現を目指すためだ。
だが、このルール修正に対して批判的立場に立っているF1チームもいくつかある。
■燃料増加はハイブリッド時代の流れにそぐわない
そのひとつは現在メルセデスからPU(パワーユニット)供給を受けているウィリアムズだ。ウィリアムズの最高技術責任者を務めるパディ・ロウは、フランスの『Auto Hebdo(オト・エブド)』に次のように語った。
「奇妙な判断だよ」
「ハイブリッド時代はエネルギーの効率性を増すことが重要なのであり、燃料制限はその一部なんだ。もしいくつかのチームがライバルたちよりも多くの問題を抱えているのであれば、それは設計という観点からすれば彼らのミスだということになる」
「燃料を増やすことはエネルギーの効率化という面からは後退することになるし、それはこのスポーツにダメージを与えるものだと私は考えているよ」
ウィリアムズ同様メルセデスPUを搭載しているフォース・インディアの技術責任者も同様の主張を行っていると伝えられている。
■燃費制限こそがF1にそぐわない
だが、ルノーF1プロジェクトを率いるシリル・アビテブール(マネジングディレクター)はこうした意見に対して次のように反論している。
「燃費をよくすることはF1の本質にはそぐわないものなんだ」
「我々のスポーツにとって重要なのはドライバーたちが最速となることを目指してアタックすることなんだ。エンジンを守ったり、燃費を気にかけたり、タイヤをいたわることではなくてね。ほかのレースシリーズではそれが重要なのかもしれないが、F1はそうではないはずだ」
メルセデスPUを搭載するチームたちが搭載燃料を増やすことについて批判的見解を持っていることについて質問を向けられたアビテブールは、「彼らの立場は理解できるが、それでもまだ燃料消費量は制限されているよ」と答え、次のように付け加えた。
「5kg燃料が増えるからといってそれによってパワーユニットのコンセプト変更が求められるわけじゃないからね。もしそれで彼らが何か失うものがあるとすれば、私は驚くだろうね」