ウィリアムズのチーム副代表を務めるクレア・ウィリアムズが、F1がバジェットキャップを導入しなければ自分たちが生き残っていくことはできないだろうと語った。
イギリスの名門F1チームであるウィリアムズだが、1997年にジャック・ビルヌーブを擁して通算9度目のコンストラクターズタイトルを獲得したのを最後にタイトル争いからは完全に脱落した状態となっている。さらに、2012年の第5戦スペインGPでパストール・マルドナードが勝利して以降、優勝からも遠ざかっている。
■バジェットキャップ導入を歓迎するウィリアムズ
チーム創設者であり現在も代表の地位にあるフランク・ウィリアムズを父にもつクレアは、最近F1オーナーのリバティ・メディアとF1チームによる会合に出席したが、その後「シャンパンの栓を抜きましょう」と喜びのコメントを行ったと報じられている。
それは、リバティ・メディアが2021年からF1チームの年間予算に1億5千万ドル(約164億円)という上限値(バジェットキャップ)を定めるという方針を明らかにしたためだ。
クレアは次のように付け加えている。
「私たちが破たん寸前だったと言うわけではありません。しかしチーム間の財政状況の格差が大きいことにより、ウィリアムズが中長期的に生き残っていく可能性はかなり厳しいと考えられていました」
■今のF1は崩壊している
ウィリアムズは2014年と2015年にはコンストラクターズランキング3位にまで巻き返していたものの、2016年と2017年は5位に脱落。そして今年はさらに厳しい状況を迎えており、3レースが終了した時点でまだ1ポイントも獲得できず、ランキングも最下位に沈んでしまっている。
クレアはこうした状況についてスイスの『Blick(ブリック)』紙に次のように語った。
「私が始めたころ、私たちはまた勝つことができるだろうと本気で考えていました。今ではもはやそんなことは信じられません」
「私たちのスポーツは基本的に崩壊してしまっているのです」
■課題はチーム間の財政格差の是正
そう述べたクレアは、F1チームの財政的格差を何とかしなければ自分たちに将来はないと次のように続けた。
「懸命に頑張ればいつかは報われるなどと信じるのは考えが甘すぎます。3強チームを除けば、今後勝利を得られる者など誰もいないのですから」
「フェラーリ、メルセデス、そしてレッドブルと比べれば、財政的な格差はあまりにも大きすぎます。これで頑張り続けるなんて不可能です。悲しいことですが」
「もしF1の新オーナーが本当に2021年から1億5千万ドルの予算を押し進めてくれるならば、私たちも生き残っていけるでしょう」
そう語ったクレアだが、自分たちにももっといい仕事をする必要があることも認めている。
「私たちよりも少ない資金でいい仕事をしているチームもありますからね」とクレアは付け加えた。