F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が、ピットストップをより安全に行うためのルール変更を検討していると報じられている。
■これまでになく増えたピット作業ミス
年々スピードアップが進められてきたF1のピット作業だが、今季は3秒以下でタイヤ交換を完了させることが普通になってきている。その反面、タイヤ交換ミスなどの事故も増加しており、これはあまりにも速度アップを目指したことがその原因になっていると考えられている。
タイヤ交換に失敗してドライバーがリタイアに追い込まれる程度であればまだしも、今季のF1第2戦バーレーンGPではキミ・ライコネンのタイヤ交換作業に従事していたフェラーリのメカニックが発進したライコネンのクルマにひかれて足を骨折するという事件にも発展してしまった。
■作業ミス防止案を提案予定だとホワイティング
こうしたことを受け、F1競技委員長を務めるFIAのチャーリー・ホワイティングはピット作業事故を防ぐための対策を検討しているという。
「エラーの可能性を減少させるために、若干の対策を導入することは可能だ」
ブラジルの『Globo(グローボ)』にそう語ったホワイティングは、F1は今季ここまでのレースで起こったピット作業ミスを検証して学ぶことができたと続け、さらに次のように語った。
「難しいのは、どのツールを自動化する必要があり、どれを人間によって運用する必要があるかを見極めることだ」
「私は明確なアイデアを持っている。そして、今後数週間のうちにチームたちと話し合うことになる」
■ピット作業の標準化に動くわけではない
一方、F1関係者の中にはFIAがピット作業の手順などを規格統一するのではないかと懸念している者もいる。現在のF1ではピットストップ作業のスピードもライバルたちを追い抜くための重要な要素のひとつであり、あまりにも作業が統一化、標準化されるとそこでもF1の面白みが薄れることになるのではないかというのがその理由だ。
だが、こうした疑問に対してホワイティングは次のように答えている。
「私はシステムを標準化しなければならない理由など何もないと思っている。だが、何か条件が整っていなければOK(クルマを発進させてよいという合図)を絶対に出せないようにすることが必要なんだ」