フェラーリの地元であるイタリアのF1記者たちが、あからさまにセバスチャン・ベッテル優先のレース戦略を展開するフェラーリのやり方を批判している。
■フェラーリはライコネンと道具としてしか見ていない
『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』のトップ記者として知られるピノ・アッリエビは、今シーズン序盤においてはフェラーリがキミ・ライコネンを単なる駒としてしか見ていないのは明らかだと主張している。
「ピットストップでは、フェラーリはライコネンにボッタス(メルセデス)を押さえさせてベッテルを助けようとしていた」
先週末に行われた今季の第3戦中国GP決勝でのフェラーリのピット戦略に言及したアッリエビは次のように続けた。
■ライコネンはかつての強さを取り戻している
「我々は何年もライコネンを批判してきた。だが2018年が開始されると彼はこれまでとは違う気迫を見せ、我々に彼がチャンピオンであることを思い出させた。フェラーリだってそのことには気づいていたはずだ」
「ところが、キミは戦略によって不利な立場に立たされた。チームは彼のことをベッテルの支援役としか見ていないのだ。それは失敗だ。そんなことをすれば士気やドライバーのパフォーマンスにも影響を及ぼしてしまう」
■今のやり方はチーム内に不協和音を生む
もうひとりのイタリア人記者であるアンドレア・クレモネジも同様の見方をしている。クレモネジは次のような懸念をあらわにしている。
「ライコネンをああいうふうに扱えば、フェラーリがどれだけ長く調和をたもてるのか心配になる」
だが、ライコネン本人は、ベッテル優先と見られるピット戦略がとられたことについてどう思うかと質問されると、「分からないよ」と答え、次のように付け加えた。
「レースはまあまあだったと思うよ」
■5年ぶりの優勝が期待されるライコネン
中国GP決勝では、最初のピットストップをかなり遅らせたことで先にタイヤ交換を済ませたボッタスやベッテルに大きな差をつけられたライコネン。だが、レース終盤には新しいタイヤのアドバンテージを生かしてペースアップに成功し最終的には3位表彰台に上っている。
ライコネンに課題があるとすれば、なんとしても予選でポールポジションをとり、優勝を果たすことだろう。絶対的な速さを示し続け、ポイントでベッテルを逆転するようなことにでもなれば、おのずとその立場も変わってくるはずだ。
ライコネンはロータス在籍時の2013年開幕戦オーストラリアGPで通算20回目の勝利をあげて以来優勝から遠ざかっている。