前F1最高責任者のバーニー・エクレストンが、ロス・ブラウンがF1最高権威の座に就くことを目指しているようだと語った。
かつてフェラーリの最高技術責任者としてミハエル・シューマッハとともにフェラーリ黄金時代を築いたブラウンは、その後撤退したホンダワークスチームを譲り受けてブラウンGPのオーナー兼代表となり、2009年にF1ドライバーズタイトル(ジェンソン・バトン)とコンストラクターズのダブルタイトルを獲得している。
翌年はチームをメルセデスに売却し、以後もそのままチーム代表として手腕をふるったが2013年シーズンを最後にF1の世界から身を引いていた。
その後、2017年にF1の新オーナーとなったアメリカのリバティ・メディアはエクレストンを更迭して新F1最高責任者にチェイス・キャリーを据えるとともに、ブラウンをF1モータースポーツ責任者に指名。ブラウンは4年ぶりにF1の世界に戻ってきていた。
最近、エクレストンはドイツの『Welt(ヴェルト)』紙に対し、ブラウンはいつか自分がF1最高責任者のポジションに就こうと狙っているようだと次のように語った。
「ロスが私を追い出したがっていたといううわさがあるんだ。もしそうであれば、彼はその点においては満足しているだろうね。だが、いつかチェイス・キャリーも追い出すことができれば、彼はまさにハッピーだろう」
実際のところ、かつてはエクレストンが1人で切り盛りしていたF1運営業務だが、現在ではキャリーが最高責任者を務め、その元でショーン・ブラッチーズがマーケティング責任者、ブラウンがモータースポーツ責任者を務めるという体制が敷かれている。
仮にこの3人による権力闘争が起こったとしたら勝つのは誰だと思うかと質問されたエクレストンは次のように答えている。
「ロスだね」
「チェイス・キャリーはイギリスで暮らしたいとは思っていない。それはショーンも同じだ。彼らはアメリカ人だし、生活に関しては異なる姿勢を有しているからね」
「ロスはF1のシリコンバレーと言われるイギリスで生活することを望んでいる。私は彼ら(リバティ・メディア)がFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント/F1商業権管理組織)をアメリカに移転しようとするだろうと考えているが、ロスはイギリスにおいてトップとしてF1運営に携わっていくだろう」
そう語ったエクレストンは次のように付け加えた。
「ロスは2人のアメリカ人に仕えるために引退生活から復帰したわけじゃないよ」