先週末に行われた2018年F1開幕戦オーストラリアGPでは予選3番手だったフェラーリのセバスチャン・ベッテルが逆転優勝を果たした。
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ポールポジションからスタートし、その後もレースを支配しているように見えたメルセデスのルイス・ハミルトンだが、セーフティカーが導入というチャンスをうまくものにしたベッテルにピット戦略で逆転を許してしまっていた。
■ハースのミスは意図的なものだった?
一方、そのセーフティカー導入の原因となったのはハースのロマン・グロージャンが左リアタイヤの装着作業ミスによりコース上でストップしてしまったことだった。その直前にはチームメートのケビン・マグヌッセンも全く同様に左リアタイヤの装着ミスでレースを終えていた。2台のマシンに同じ作業ミスがほぼ同時に起きるというのは普通はあまり考えられないことだ。
結果として、このハースのミスがベッテルの逆転劇のきっかけとなったことから、F1関係者の中には実質的にフェラーリのBチームだと言われることもあるハースがフェラーリを助けるためにわざとミスをしてセーフティカー導入を導いたのではないかとの疑念さえささやかれている。
■信じがたいミスだがわざとではないとハース
だが、ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーはドイツの『Bild(ビルト)』に対し、あのミスは意図的なものではなかったと次のように主張した。
「単にホイールを正しく装着していなかったんだ」
「2台のクルマに起きてしまったというのは信じがたいことだ。だが、起きてしまったのだ」
■メルセデス首脳もハースに同情
あのハースのトラブルによるセーフティカー導入さえなければハミルトンがそのままトップでチェッカーを受けていた可能性が高いと考えられるものの、メルセデスを率いるエグゼクティブディレクターのトト・ヴォルフはハースが意図的に作業ミスをしたなどとは考えていないようだ。
「ハースは本当に気の毒だね」
そう語ったヴォルフは次のように付け加えた。
「彼らは本当に速かった。私には何が起きたのかは分からないが、ああしたことが起きれば本当に痛手だよ」
メルセデスの非常勤会長を務めるニキ・ラウダも次のように語っている。
「ハースはどうしてあんなことが起きたのかこれから調査する必要があるだろうね。だが、本当に彼らを気の毒に思うよ」
■作業ミスの原因はプレッシャー?
シュタイナーは、信じられないようなピット作業ミスが発生した原因のひとつは、ハースのメカニックたちがこれまでに経験したことがなかったプレッシャーを感じていたためだろうと考えている。
ハースは今季のオーストラリアGPにおいて2016年にF1参戦を開始して以来最高の予選結果となる6番手と7番手を達成。決勝ではさらにレッドブルのダニエル・リカルドのグリッド降格によってグリッドがひとつずつ繰り上がり、3列目から2台が並んでスタートするというチャンスを得ていた。
そしてレースがスタートすると5番グリッドからスタートしたマグヌッセンがマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を追い抜いて4番手に浮上。さらにその後フェルスタッペンがミスを犯したことでグロージャンも5番手に順位を上げるという展開となっていた。そして、こうしたことが逆にメカニックたちに大きなプレッシャーを与えることになっていたようだ。
「週末を通じて非常にストレスを感じていたよ」
そう認めたシュタイナーは次のように付け加えた。
「金曜日にいくつか問題を抱えてしまい、スペアパーツが足りなくなってしまっていたんだ。だから我々はピットストップの練習をあまり積極的には行わなかった。恐らくは、それが(ミス発生の)原因のひとつだったんじゃないかな」