元F1ドライバーのアレックス・ブルツは、今季からF1カーに装着される「ヘイロー」によってF1レースがこれまで以上に見応えのある激しいものになる可能性もあると考えている。
かつてベネトン、マクラーレン、ウィリアムズで活躍した44歳のブルツも今年から装着が義務付けられたコックピット保護装置「ヘイロー」は見た目にはあまりかんばしいものではないと考えている。
■ヘイロー導入は時代の要請
だが、現在もF1ドライバーたちによる任意団体であるGPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の会長を務め、F1ドライバーの安全対策などに取り組んでいるブルツは、「ヘイロー」導入は避けられないことだったと主張している。
「今日の社会環境や法的状況からすれば、FIA(国際自動車連盟)のような統括団体が単に見た目が悪いという理由で安全装置の導入を見送ることなど不可能だよ」
母国オーストリアの『Der Standard(シュタンダルト)』紙にそう語ったブルツは次のように付け加えた。
「社会は変化したし、世界的な産業は人々が傷ついたり死んだりすることを避けるために人事を尽くさなくてはならないんだ」
■レースさえ面白ければヘイローのことは忘れる
だが、ブルツは「ヘイロー」に対する批判的な意見もすぐに消えていくだろうと考えている。
「もしこのスポーツがコース上で接戦が繰り広げられ、何人もの勝者が誕生するような本当にワクワクするようなものであれば、観客の99.9%はヘイローがあろうがなかろうがそんなことは気にしないはずだ」
■F1カーが今後さらにスピードアップする可能性も
そう語ったブルツは、「ヘイロー」が装着されることによりF1カーの安全性が確実に向上すれば、これまでよりもさらにエキサイティングなF1が見られることになるだろうと次のように付け加えた。
「クルマが安全なものであることが確認されれば、将来的にはモナコを時速400もしくは450kmで駆け抜けるようになるだろうし、雨が降ったからといって赤旗でレースを中断する必要もなくなるだろうね」