F1最高責任者のチェイス・キャリーが、F1チームの年間予算に上限値を設定することが必要なのは確かだと主張した。
昨年F1の新オーナーとなったリバティ・メディアは、F1に新しい風を吹きこもうといくつかのアイデアを実践するとともに、将来に向けた新F1エンジンルール案を提示。それに加え、近い将来F1チームに対し“バジェットキャップ”と呼ばれる予算上限値を設定する方向で検討していると伝えられている。
そうしたリバティ・メディアの動きに対しフェラーリ、メルセデス、ルノーは反対の意向を表明。特にフェラーリは現在のコンコルド契約が満期となる2020年限りでのF1撤退さえ示唆している。
■時代に合ったF1運営が必要
だが、キャリーは、F1は絶えず増大し続けているコスト問題に何らかの手を打つ必要があるとドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』に次のように語った。
「一部のチームが投じているような大金を費やしても意味がないことだと誰もが合意している」
「我々はこのスポーツあるいはテクノロジーを以前よりも劣るものにしようとしているわけではない。だが、我々はチームが彼らの金をどのように、そしてどれくらい使っているかを調査する必要がある」
現在ささやかれているうわさの中には、リバティ・メディアは各F1チームの予算に年間1億5千万ドル(約160億円)という上限値を定めることを検討しているというものもある。もしそうなれば、フェラーリやメルセデスといった大規模チームはかなり年間予算を絞らなくてはならなくなるだろう。
キャリーはこの件に関して次のように続けた。
「ここで具体的な数字を言うつもりはない。だが予算制限を行うためにはルールが必要だ。当然ながら不正を働こうとする者も出るだろうからね」
「前オーナーも素晴らしい仕事をしたよ。だが、世界は変わりつつあるし、ここ数年で多くの可能性が失われてきているんだ」
■目指すのは新規参入チームの増加
キャリーもフェラーリやメルセデスがF1にとって“非常に重要”であることは認めつつ、F1にとって最も重要なのはいかにして「満足するファン」を増やすかを考えることだと主張し次のように続けた。
「その他のことは後回しでいいんだ」
「私はファンにとって健全なスポーツにしたいと思っているし、チームに対してもそうだ」
「私の目標は、新しいチームがF1に参入してくることだ。プライベートチームと大規模メーカーの両方がね」
「誰もマノー(2016年シーズンを最後に活動停止したチーム)を買収したいと思わなかったというのが事実だよ。たとえ1ドルという金額でもね」
「そんなことがあってはならないよ。買収したいと思う者が誰もいないなんてチームがあってはならないんだ」