ルノーF1プロジェクトを率いるシリル・アビテブール(マネジングディレクター)が、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が今後もライバルF1エンジンメーカーたちが正規の燃料であるガソリン以外にオイルを用いて出力を向上させないよう厳しく見張ってくれることを期待していると語った。
■ルールを設けるとともに監視強化が必要
昨年、メルセデスやフェラーリがPU(パワーユニット)の出力を向上させるためにガソリンだけでなくオイルを巧妙に燃焼させているのではないかといううわさがささやかれ、FIAがそうした目的でオイルを利用することを禁止したという経緯があった。
これは、ルノーが積極的に交渉を持ちかけたことでFIAが動いたものだと考えられている。
アビテブールはこの件についてデンマークの『Ekstra Bladet(エクストラ・ブラデ)』に次のように語った。
「この抜け穴に関してはいろんな手が打たれてきた。だが我々は今後もFIAと協力し、彼らが的確にモニターするためのツールを手にすることができるようにしていくつもりだ」
「つまり、いいルールを作ることに加え、どうやって監視するかが重要なんだ」
「私は、ルールは明確だと確信している。だが、FIAにそれをきちんと監視できるだけの能力があるかどうかはまだ分からない」
■ルノーの顧客チームからは別の疑念も
だが、そのルノーに対する不満が顧客チームから出ているのも事実だ。今年はルノーのワークスチームと以前からパートナーであったレッドブルに加えてマクラーレンにもPUを供給することになる。
顧客としてルノーからPUを購入するレッドブルやマクラーレンは、自分たちに供給されるPUはワークスチームが使用するものと同じものではなく、性能がやや劣るものになっているのではないかとの懸念を表している。
この件に関し、アビテブールは次のように主張した。
「それは顧客チームとしては当然の懸念だろう。彼らは公平に扱われるべきだし、我々はエンジンサプライヤーとして40年やってきているが、常にそうしてきた」
「だが、常に小さな違いがあることを受け入れる必要もあるんだ。例えば、レッドブルは別のパートナーを持っており、違う燃料とオイルを使っているわけだからね」
そう語ったアビテブールは、次のように付け加えた。
「だが、それは我々がそうさせたわけじゃない。彼らは我々と同じパートナーを使うこともできたんだ」