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進歩的な「グリッドガール」実現を目指すF1

2018年01月12日(金)19:38 pm

F1のマーケティング担当者が、伝統的なグリッドガールを廃止するのではなく、もっと違う形に進化させていきたいという見解を示した。

■高まるグリッドガール廃止論

日本では「レースクイーン」と呼ばれることも多いが、モータースポーツを彩る花のような存在としてグリッド上でドライバーの名前の入ったプラカードを掲げる「グリッドガール」が長きにわたって存在してきたという歴史がある。

だが、近年では女性をそうした見せ物のように扱うのは差別ではないかという声が増えてきており、実際WEC(世界耐久選手権)のようにグリッドガールを廃止したシリーズもある。

F1においても、昨年モータースポーツ責任者であるロス・ブラウンが、現在ではグリッドガールはすでに時代遅れの存在であり、その廃止について真剣に検討すべきだと発言したことで一気にグリッドガール問題がメディアをにぎわせることとなった。

実際のところ、F1関係者はファンの中にはグリッドガールの存続を望む声が多いのも事実だ。

■課題はグリッドガールを進歩させること

だが、リバティ・メディアが新オーナーとなって改編されたF1運営組織においてスポンサー獲得活動やマーケティング活動を担当しているマーレイ・バーネットは、グリッドガールを単純に廃止するのではなく、もっと違う形で活用していきたいと『Marketing Week(マーケティング・ウィーク)』に次のように語った。

「我々はグリッドガールを単にプラカードを掲げてクルマの横に立つだけではなく、もっと競技との関連があるものにしようと全力で検討を行っているところだ」

「まだどのようなものになるかはっきりとしたイメージを持っているわけではないが、その部分についてはもっと進歩的になる必要があると認識している」

■F1のイメージ戦略ももっと進歩的に

バーネットはさらに、グリッドガールだけでなく、F1そのものも「進歩的」であるというイメージを高めたいと次のように続けた。

「我々は例えばカーボン・オフセット(注)のようなことも検討している。だが、F1が実は信じられないほど効率的なエンジンを使っていることはほとんど知られていないことの1つでもある」

「我々には50%のエンジンリカバリーを誇り、1000馬力をも超えようとする1.6リッターのハイブリッドエンジンがある。誰もがこれは驚くべきことだと言っているよ」

「私はフォーミュラEのことを批判するつもりはない。だが、彼らが使うバッテリーはどこからか持ち込むしかない。F1は存続が可能で環境にもよいスポーツなんだ。我々はそのことを伝える機会を増やしていく必要がある」

■変わりつつあるF1運営の姿勢

2016年までは当時F1最高責任者の地位にあったバーニー・エクレストンが、F1に関するありとあらゆることに単独で対応してきていた。

だが、リバティ・メディアはエクレストンの後任にチェイス・キャリーを据えつつ、キャリーを補佐するためにモータースポーツ責任者やマーケティング責任者というポジションを設け、分業化かつ専門化を進めつつある。

マーケティング責任者であるショーン・ブラッチーズの下で実務責任者として奮闘しているバーネットは、F1の姿勢もエクレストン時代とは変わりつつあると次のように続けた。

「エクレストン時代のことをあまり語るつもりはないんだ。だが、今我々はスポンサーたちにアプローチする際には“いえ、質問の意味が分かりません”という姿勢ではなく、“はい、そうしましょう”といった姿勢で臨もうとしているんだ」

「F1に対する彼らの認識を変えるためには長い時間がかかるだろうし、実際我々としても考慮することが必要となる。それは分かっているんだ」

そう述べたバーネットは、次のように結んでいる。

「しかし、我々には忍耐が必要だ。そしてこのブランドのために魅力的なものを提供し続けていけば、意外に早くみんなが注目し始めるはずだと認識することが必要なんだ」

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