昨シーズン途中でトロロッソのシートを失ったダニール・クビアトが、2018年はフェラーリと開発ドライバー契約を結んだことが10日(水)に発表された。
開発ドライバーとは具体的にどういう仕事をするものだろうか?
そのことについて質問を受けたフェラーリの広報担当者は、クビアトの母国ロシアの『Tass(タス通信)』に次のように答えた。
「開発ドライバーの役割は通常シミュレーター作業に関連するものだ」
「メインとなるサーキットでの活動は我々のほかのドライバーたちが担当することになる」
■意外だったクビアトのフェラーリ加入
レッドブルの育成ドライバーとして2014年にジュニアチームのトロロッソからF1デビューを飾ったクビアトは、セバスチャン・ベッテルのフェラーリ移籍に伴い2年目の2015年にはトップチームであるレッドブルに昇格するなど、順風満帆なF1キャリアをスタートさせていた。
だがたびたびクラッシュを起こすなど攻撃的すぎて安定度に欠けたクビアトは、2016年シーズン前半にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と交代させられて再びトロロッソに降格。そしてついに2017年シーズンを全うすることなく、第17戦アメリカGP後にレッドブルから契約を解除されてしまっていた。
今回、クビアトが開発ドライバーながらフェラーリのF1プログラムに迎え入れられたというニュースはF1関係者たちにとっても驚きだったようだ。
■F1残留を目指すクビアトにとっては最善の策
フィンランド出身ドライバーであり、現在はテレビ局『C More(セイ・モレ)』でF1解説者も務めるトニ・ビランデルは今回のニュースについて次のように語っている。
「彼は昨シーズンまでドライバーを務めていたわけだし、フェラーリに貴重な経験をもたらすだろうね」
「シミュレーター作業によってドライバーの腕が上がることはないものの、恐らく彼のマネジャーはこれが最善の策だと考えたんだと思う。彼もこれからずっとテストドライバーにとどまるわけにはいかない。ドライバーの最終目標はレースに出ることだからね」
■目指すはフェラーリ、ハース、ザウバーのシート獲得?
ともあれ、フェラーリとの関係が構築できることにより、クビアトは将来的にフェラーリのシート、あるいはフェラーリからPU(パワーユニット)の供給を受けているハースやザウバーのシート獲得を目指していくつもりだろうと受け止めている者も多い。
だが、ビランデルは今後クビアトがすぐにF1グリッドに復帰するのは難しいだろうと次のように付け加えた。
「実際のところ、ダニールにとってそれは困難だろうね。しかし、彼がいくつかのスポンサーから支援を得られる可能性もあるんじゃないかな」