F1公式タイヤサプライヤーであるピレリが、2018年シーズンにはこれまでのハードタイヤに加え、新たに“スーパーハード”と呼ばれるタイヤを導入することにした理由を説明した。
■2018年には7種類のドライタイヤが登場
今年まではウルトラソフト、スーパーソフト、ソフト、ミディアム、ハードの5種類のドライタイヤを供給していたピレリだが、2018年にはさらに軟らかい“ハイパーソフト”と同時に最も硬い“スーパーハード”の2種類をラインアップに加え、全部で7種類のドライタイヤを供給することになっている。
今年のF1最終戦アブダビGPの翌週にヤス・マリーナ・サーキットで行われたテストでは、新たに導入されるハイパーソフトに関してはドライバーの評価もかなり高かったと伝えられている。
■スーパーハードは本当に必要?
一方で、2017年シーズンに供給されたハードタイヤは硬すぎて使い物にならないとドライバーたちからの苦情が殺到し、実際のところ第5戦スペインGPで一度使用されたのみで、その後は一度もハードタイヤの出番がないままにシーズンを終えていた。
伝えられるところによれば、2018年のタイヤはそれぞれ今季のものよりも1段階軟らかくなると言われている。つまり来年のハードタイヤは今季のミディアムタイヤ相当のコンパウンドが使用されることになるわけだが、その下に位置するスーパーハードは今季のハードタイヤと同じレベルのものとなると考えられている。
ということは、来年スーパーハードが実際に使用される可能性はほとんどないのではないかとの疑問が出てきても不思議ではない。中には7色の「レインボーカラー」というキャッチコピーを使うために、わざわざ余計なスーパーハードを追加したのではないかといぶかしがる声もある。
■スーパーハードは用心のためだとピレリ
ドイツの『Speedweek(スピードウィーク)』からどうして来季新たにスーパーハードを導入するのかと質問を受けたピレリの自動車レース責任者マリオ・イゾラは次のように答えた。
「すごく簡単だよ。それは我々にとっての保険なんだ」
「基本的に、我々はスーパーハードを使うことは一度もないだろうと考えている。だが、新しいクルマの開発がどれほど早く進むのか、あるいはどのコーナーが重要となるかを予想するのは困難なんだ」
そう語ったイゾラは、次のように付け加えた。
「タイヤへのストレスが大きいサーキットでもハードタイヤで十分だと考えているが、レギュレーションにはシーズン中にもうひとつコンパウンドを追加することもできるとされている。後で悔やむよりは安全策をとっておくほうがいいからね」