エグゼクティブディレクターとしてメルセデスのモータースポーツ部門を率いるトト・ヴォルフが、2018年にさらに厳しいF1エンジンルールが適用されることに対する批判を一蹴した。
■2018年は4台目エンジン投入でペナルティーに
2017年シーズンはPU(パワーユニット)使用可能台数がF1マシン1台あたり年間4台までと定められていた。だが深刻な信頼性問題を抱えたホンダやルノーではこの基準を大きく超える数のコンポーネントを投入し、その都度大きなグリッド降格ペナルティーを受ける事態となっていた。
だが、2018年には今年よりも1レースが増えて年間21レースで争われるものの、PUの基準はさらに厳しくなり、主要コンポーネントは年間3台までに制限されることになる。
もし2018年にPUの信頼性が大きく改善しなければ、大きなグリッド降格を受けるドライバーが今年以上に増える可能性もある。
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、2017年シーズンには戦略的なPU交換も含めれば20台中10台が基準を超えるといった状況になったにもかかわらず、2018年にさらに厳しいルールを適用するのは「頭がおかしい」としか思えないと強く批判している。
■全員で挑戦しようと決めたことだとヴォルフ
だが、最強PUで2014年から4年連続でドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルを独占したメルセデスのヴォルフは、今季の最終戦が行われたアブダビで次のように語った。
「もしそれを頭がおかしいと言うのであれば、彼(ホーナー)はもっとパワーユニットを低価格にしろというプレッシャーをかけるべきではなかったね」
「メーカーは顧客への供給価格を適正なものにしたいという全員の声に後押しされてきたし、我々がやったのはまさにそれだ」
「それに、もし私の記憶が正しいとすれば、それ(2018年エンジンルール)を決めたときには全員が出席していたはずだ。確かに、それだけの信頼性を達成することは非常に大きな挑戦となる。だが我々はそうしようと決めたんだ」
■ルールは変えられないとFIA会長
F1を統括するFIA(国際自動車連盟)のジャン・トッド会長も、すでに2018年のルールは変更不能であるとともに、F1はこれまでもずっとそうしたことに挑戦を続けてきていたはずだと次のように語った。
「私だって、ドライバーが150グリッド降格ペナルティーを受けるなどと聞いてうれしいわけがない。だがF1というものは大変な努力が求められるところだし、あらゆることに対応していかなくてはならないんだ」
「このエンジン数制限に関しても今出てきた話ではない。誰もがルールは分かっているはずだ」とトッドは付け加えた。