ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が今季通算4度目となるF1タイトルを獲得するためには、残りのレースで落ち着きを保つことが必要だ。
そう語ったのは、昨年までハミルトンのチームメートだったニコ・ロズベルグだ。
ロズベルグは2014年以降ハミルトンと激しいタイトル争いを繰り広げていたが、2016年に念願の初タイトル獲得を達成するとそのままF1を引退してしまった。
少年時代には共にカートで戦い、仲が良かったロズベルグとハミルトンだが、F1でし烈なタイトル争いを展開するようになると関係が悪化。ロズベルグがF1を引退した後もそうした状態はいまだに修復されていないと言われている。
■今のハミルトンの走りは素晴らしい
だが、ロズベルグは今年のハミルトンの活躍は見事だとオーストリアの『Kleine Zeitung(クライネ・ツァイトゥング)』に次のように語った。
「現時点では、彼は素晴らしい走りを見せているね」
「同時に、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)にとってはすべてが悪い方向へと向かってしまっている」
今シーズン序盤は通算5回目のF1タイトル獲得が濃厚だと言われていたベッテルだが、シーズン後半に入ると失速してしまい、残り4レースとなった時点でハミルトンに59ポイントものリードを許している。
今週末に行われるF1第17戦アメリカGP(22日決勝)での結果いかんでは、早ければここでハミルトンのF1タイトル獲得が確定してしまう可能性もある。
■不安要素は「感情的な浮き沈み」
だが、ロズベルグは、ハミルトンが今年のタイトルを確実に手に入れるには自信と一貫性を今後も持続できるかどうかがカギになるだろうと次のように続けた。
「ルイスは信じられないほどの安定度を示している。そして、毎レースそれを続けるのはすごく難しいことなんだ」
「1周の速さに関してはルイスの方が(ベッテルよりも)少しいいと言えるだろうね」
「だけど、彼の弱点は感情的な浮き沈みがあることなんだ。その点に関してはセバスチャンの方に少し分があると見ているよ」
「これほど高いレベルになると、ほんの小さなことが大きく影響することもあるんだ」
「もし何かに気を取られたり、エネルギーをほかのものにつぎ込んだりすれば、それによって足をすくわれることもある」
「昨年のルイスにはそれが起きてしまったんだ。記者会見のときにスナップチャットをしたことで彼は怒ったメディアとけんかをするはめになってしまっていた」
「そこでエネルギーを浪費してしまったんだ。とりわけ、F1タイトル争いにおける重要な段階でね。そういうことがあれば、集中が途切れてしまうんだ」
■事実上今季のタイトルのゆくえは確定
とは言うものの、ロズベルグも2017年のF1タイトルがハミルトンの手におさまるのは間違いないと考えているようだ。
「今の僕は中立だよ」
そう語ったロズベルグは、最前列からハミルトンと並んでスタートしたものの、スパークプラグの異常によりわずか数周でリタイアせざるを得なかったベッテルに言及しながら次のように続けた。
「だけど、ファンとしての立場から言えば、日本で起きたことはものすごく残念だったよ。誰だって最後まで戦いが続くのを見たかったからね」
「ルイスだってきっと最後の最後まで戦いを続けたかったはずだよ。でも、これがモータースポーツなんだ」
そう語ったロズベルグは、最後に次のように付け加えた。
「いずれにせよ、メルセデスAMGとルイスも今でもまだ安心はできないけどね」