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86レースを真剣に楽しんで優勝!橋本洋平「未来の愛車は東京モーターショーで出逢ってきた」/未来のクルマとモータースポーツ

2017年10月16日(月)5:56 am

【特集】「未来のクルマとモータースポーツ」では、モータースポーツも自動車もかつてないほどの大きな変化を迎えている今、各界で活躍するプロフェッショナルがどのように考えているのか、「未来のクルマとモータースポーツ」について語ってもらう。


 今、参加型モータースポーツが熱い。その代表格が「86/BRZ Race」だ。ナンバー付き車両の本格FRスポーツカーで誰でも参加できるモータースポーツということで、トヨタやスバル以外にも、ホンダの社員も個人の趣味として参戦しており、その参加台数は80台を超えることもあるほど熱いレースだ。そこにモータージャーナリストの橋本洋平氏も自身で購入した車両で参戦している。

 元々レースをしていたというだけあって熱い走りで魅せてくれるのだが、話しを聞くとこれまで『未来の愛車』は東京モーターショーで一目惚れしてきたという。仕事柄、新車試乗会など数多く体験している橋本氏は、未来のクルマの姿を決めるのはメーカーではなくユーザーにも責任があると言い切る。未来はEV(電気自動車)やAI(人工知能)など最先端技術だけではない、クルマを操って楽しむドライバーの立場として熱く語ってもらった。

■レースを辞めてから、「86」と出会ってレース復帰

 いま僕はGAZOO Racing 86/BRZ Raceというナンバー付きのクルマで行われるレースに参戦している。学生時代にFJ1600というフォーミュラカーでレースの世界に首を突っ込んで以来、自動車雑誌の編集部に在籍していた当時も企画で様々なレースに出させてもらったが、35歳の時に一度はレースを辞めてしまった。参戦する費用の問題、そしてそろそろレース遊びも終わりにせねばと考えた末の結論だった。

 28歳の頃からフリーランスとなり、雑誌やwebでクルマの記事を書く機会に恵まれて過ごしていたが、アラフォーに差し掛かった時、自分のドライビングに疑問を感じ始めた。サーキット試乗会などで新型車を試乗した際、どうもすぐに乗りこなせなくなっている感覚に見舞われたのだ。明らかに走り込み不足。日常的にレースをやっていた頃に比べると、身体がなまり始めていることは明白だったのである。何かせねば……。そう考え始めていた時に目の前に現れたのがトヨタ86だったのだ。

 トヨタとしては久々のスポーツカーで、しかもFRレイアウト。これなら運転の訓練にはうってつけである。登場以来目をつけ、すぐにでも飛びついてやろうと考えていたのだが、登場翌年からナンバー付きレースが開催されると噂されていたために、購入欲をグッと抑えて1年近くそのレースカーが販売される機会を待ち望んでいた。


橋本洋平氏は「86/BRZ Race」にマイカーで参戦中だ。

 噂通り登場した86のレースカーは僕が求めていた世界観を見事に具現化していた。ナンバーが付いているから自走でサーキットまで移動が可能。レースに使うためのタイヤを4本積み込み、さらにメンテナンスのための工具などを満載することができることも希望通りの展開だった。誰もがレースで直面するコストをできるだけ抑え、しかも運転訓練が可能というそのコンセプトは、一度はレースを諦めてしまったオッサンにとって、かなり有難い環境だったのだ。おかげで86と共に全国のサーキットを飛び回る現在の僕がある。こんな生活を作り上げてくれた86には、感謝しきれない思いがある。

 いま、僕が参加している86レースはこうした体制が共感を呼び、多い時には130台を超すエントラントが集まっている。もはやカルチャーともいえる現在の状況は、改めて86のそもそものコンセプトが絶妙だったからだと思わずにはいられない。

■「86」の生みの親とは

 86のチーフエンジニアを務めていた多田哲哉氏は、そもそもスポーツカー好きであり、ユーザーの気持ちをよく汲み取ってくれる人物だった。86が登場する以前、世の中には速さやタイムを狙ったスポーツカーに注目が集まっていたが、それらは値段も張ればメンテナンス代も高く、多くの人が走り込んで楽しむような状況ではなかったことを多田氏は察知していた。多くのユーザーが求めているのは身の丈に合った、価格から走りまですべてを手の内に納められるスポーツカーだと感じ86を造り出したという。

 そもそも多田氏は86を造り出す前、担当していたラクティスでワンメイクレースカーのコンセプトを2005年の東京モーターショーに出展している。2ペダルのCVTで誰もが扱いやすく、一方で大きなラゲッジスペースを利用してタイヤやメンテナンス機材を積み込んでサーキットまで往復できる環境を整えていた。

 結果としてそのコンセプトカーが世に出ることは無かったが、いま考えてみればそれが86の前身だったことは言うまでもない。後席を畳むことでトランクスルーを確保し、機材が積み込めるようにと造られた86の姿は、ラクティスでの考え方が繋がっているのではないだろうか。後に登場した86の先祖といえるFT-86コンセプトもまた、その造りを踏襲し現在の姿へと繋がっていた。

 それを見た当時の事をハッキリと覚えているが、多田氏に何としてもコレを市販化して欲しいと僕は懇願したのだ。ラクティスの考えとFRレイアウトのスポーツカーがあれば、いまの86レースのような姿が可能だと容易に想像できたからだ。

■未来の愛車は東京モーターショーで出逢ってきた


2009年第41回東京モーターショーに参考出品された小型FRスポーツコンセプト「FT-86 Concept(エフティー ハチロク コンセプト)」

 そう考えると間もなく開催される東京モーターショーは非常に楽しみだし、絶対に見逃せない。3年後、5年後の自分が手にするであろうクルマ達の基礎となるコンセプトカーが多く登場するだろうと予測できるからだ。かつて僕はS2000やフェアレディZ、CR-Z、GT-Rを所有したことがあるが、思い返してみればそのいずれもが東京モーターショーでコンセプトモデルを発表していたことを思い出す。はじめそれらは絵に描いた餅なのだろうとナナメに見ていることもあったのだが、それはいずれ自分の生活に直結してくることを知った。

 自動車メーカーがユーザーの反応を探るために派手に打ち出すコンセプトカーは、意見に耳を傾け市販化するための叩き台として利用されているようにも感じる。自動車メーカーが夢を語り、ユーザーがそれを見て意見を出し、そして未来の市販車へと繋がるという東京モーターショーは、僕らのようなクルマ好きにとって参加しなくてはならない選挙のような存在だ。未来のクルマ生活が一体どんな姿になるのか? それを決めるのは決して自動車メーカーだけのものではない。僕らユーザーにもまた責任があると言っても過言ではないだろう。

 果たして今年のモーターショーにはどんなクルマが出展されるのか? きっとEVや自動運転といった近未来も見せてくれるのだろうが、僕のようなスポーツカー馬鹿にとっても見所は大きいはず。未来の愛車に出会うため、そしてこれからの自分のクルマ生活がどのように変化するかを見極めるために、今年もまた東京モーターショーに足を運んでみようと考えている。

■東京モーターショーは未来のモビリティ社会を占う

 モーターショーといえば会場内にあるブースを歩き、展示してあるクルマを見るだけというのが一般的。だが、今回の第45回東京モーターショー(2017年10月27日(金)〜11月5日(日)、東京ビッグサイト)では、会場となる東京ビッグサイトの近くにあるセンタープロムナードやお台場特設会場、そしてMEGA WEBにおいて、試乗や同乗走行を体験することが可能な試乗体験プログラムが数多く企画されている。ここでも未来の愛車に出会うため、そしてこれからのモビリティ社会を占うことが可能になるだろう。

 ちなみに橋本洋平氏はこのプログラム内にあるエクストリーム同乗試乗体験(10月31日、11月1日にお台場特設会場で行われる)というコーナーにおいて、同乗走行ドライバーとして参加する予定。最新のスーパースポーツなどでエキサイティングかつダイナミックな走りを展開するというから、お時間があれば是非ともそちらに足を運んでもらいたい。

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