先週、ホンダとトロロッソのPU(パワーユニット)供給交渉が頓挫したようだと報じられたが、その後トロロッソの本拠地であるイタリアのメディアも同様の報道を行っている。
2018年からザウバーにPUを供給する予定となっていたホンダだが、ザウバー側のチーム体制変化に伴ってこの話がご和算になってしまった。そしてマクラーレン以外のチームへのPU供給を実現したいホンダはトロロッソとの間で2018年に向けた供給契約に関する交渉を続けていた。
しかし、どうやらその交渉が決裂したようだと先週報じられていた。
■交渉決裂の理由は「金銭問題」
そして、イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』も次のように書いている。
「数週間かけて行われた交渉は財政的理由によりストップした」
「日本製パワーユニットを魅力的なものにするためには、ホンダのようなメーカーがどれほど財政的に貢献できるかにかかってくるのは不思議でもなんでもないことだ」
■ホンダのF1活動継続に黄信号?
さらに、同じくイタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』も、トロロッソ側がホンダに「ノー」と言ったのは確かだとし、次のように続けている。
「今回の件は、レッドブルの方向転換の可能性を探る試験的なものとなるはずだった。だが、今ではすべてがご破算となった」
「どうやら、レッドブルが(ホンダに)かなりの金額を要求したようだ」
「この結果、もしマクラーレンが去ってしまえば、ホンダもおのずとF1参戦を継続できなくなる」
現時点ではトロロッソやそのオーナーであるレッドブル、そしてホンダからも公式なコメントは出されていないが、こうした報道を見ればホンダとトロロッソの交渉が決裂したのは間違いなさそうだ。
■エンジンメーカーがトラブルを抱えるのはF1にとってマイナス
一方、F1公式タイヤサプライヤーであるピレリの前モータースポーツ責任者ポール・ヘンベリーは、2015年にF1復帰以来ずっとホンダの苦戦が続いているという事実は、F1の戦略を再考する必要があるということだと主張している。
「はっきりさせる必要があるのは、F1はメーカーのためのシリーズなのか、あるいはチームのためのものなのかということだ」
「もしメーカー参入を望むのであれば、彼らは冷笑の対象となりブランドがダメージを負うことを恐れるのではなく、競争力を発揮できなくてはならない」
現在はピレリの南米地区統括責任者を務めながらモータースポーツ活動全般を統括しているヘンベリーは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように付け加えた。
「現時点では2つのエンジンメーカー(ホンダとルノー)が問題を抱えてしまっている。これはこのスポーツにとっていいことではないよ」
現行のパワーユニットに関しては2020年までの継続使用契約が結ばれているが、現在2021年以降の新F1エンジンレギュレーションについての検討が行われている。そしてこれまでに伝えられたところによれば、2021年以降も基本的には現在の基本規格を継続するものの、今よりもシンプル化し、低コスト化が図られるとともに、エンジン音量増大に向けてツインターボ化などの改善が施されるのではないかと言われている。