パスカル・ウェーレイン(ザウバー)が、フォーミュラEで自分が走ることなど想像もできないと主張した。
ザウバーがホンダとの間に結んでいた2018年のパワーユニット供給契約をキャンセルし、来年以降もフェラーリ製パワーユニットを継続使用することを発表した。
■来季はF1シート喪失の可能性が高いウェーレイン
フェラーリではザウバーを実質的なジュニアチーム化していきたいという考えを持っているとも報じられており、来季はフェラーリ所属のシャルル・ルクレールあるいはアントニオ・ジョビナッツィが来季にはザウバーのシートを得ることになるのではないかとうわさされている。
現在ザウバーのドライバーを務めているのはウェーレインとマーカス・エリクソンだが、ザウバーの新オーナーとの関係が深いエリクソンが来季以降もチームに残留するのは間違いないと見られている。
メルセデス所属ドライバーであるウェーレインは昨年メルセデスパワーユニットを搭載していたマノーからF1デビューを飾ったものの、マノーがチームを解散したことから今季はメルセデスの支援のもとにザウバーのシートを獲得していた。
今季はけがのために開幕2レースを欠場したウェーレインだが、現在までにザウバーが獲得した5ポイントすべてを稼ぎ出しているほか、予選ではエリクソンにここまでの9レースで7勝2敗と大きく勝ち越している。
それでも、ザウバーとフェラーリの関係が強化される中でウェーレインが来季もザウバーに残留できる可能性は低いと見られており、ほかのチームのシートを得ることもかなり困難な状況となってきている。
■フォーミュラE移籍も選択肢に?
2018年にはウェーレインはかつて2015年にシリーズ史上最年少チャンピオンに輝いたDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)に復帰する可能性もあると推測しているメディアもある。
だが、メルセデスは2018年限りでDTMから撤退し、2019年からはフル電動フォーミュラカーによる世界選手権であるフォーミュラEに参戦することが決まっている。
このため、ウェーレインも将来的にはフォーミュラEに活路を見いだすことになるのではないかともうわさされている。
だが、その可能性について質問された22歳のウェーレインは次のように答えた。
「僕は音やパフォーマンス、そして燃料を使うほうが好きなんだ。フォーミュラEで走ることなど想像すらできないよ」
■確実に進む電動化の動き
とは言うものの、ヨーロッパの主要大国がこぞって10年あるいは20年といった期間のうちに化石燃料を使う自動車エンジンを禁止していくという方向性を打ち出しており、自動車産業はこれまで以上に電化の波にのまれていくことになる。
そうなれば、自動車技術の試験場でもあり、世界に向けてのデモンストレーションの場でもある自動車レースにおいても、フォーミュラEのような電気自動車によるレースがさらに活性化されていくのは確かだろう。
■フィアット・クライスラーもフォーミュラE参戦を検討
フィアット・クライスラー・オートモービルズの最高経営責任者であり、フェラーリ会長も兼務するセルジオ・マルキオンネは次のように語っている。
「フォーミュラEのことに関してはトト・ヴォルフ(メルセデス/モータースポーツ責任者)とずっと話をしてきているよ。だが、フェラーリがすぐに参入することは考えられない」
「しかし、我々としてはフィアット・クライスラーのブランドを使って参入することを検討している。まだどのブランドで行くかは決めていないがね」
ちなみに、フィアット・クライスラーでは現在、アルファロメオ、マセラティ、ランチアなどイタリア有数のブランドを保有している。