今シーズン序盤に非常に好調だったフェラーリが第7戦カナダGP以降調子を落としてしまったのは、統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が、燃料にオイルを混入させることや走行中に変形するフロアの使用を禁止したためだったと言われている。
実際にフェラーリがどの程度そうしたトリックを使っていたのかは明らかとはなっていないが、伝えられるところによればフェラーリがそうした革新的なアイデアを生み出した背景には、昨シーズン途中でチームを去った前技術責任者ジェームス・アリソン(現メルセデスAMG技術トップ)の後任として最高技術責任者に昇格したマッティア・ビノットの影響力が大きいと言われている。
ビノットが技術トップに就いたことでフェラーリ内に創造的な雰囲気が生まれ、それによって技術スタッフがどんどん新たな試みにチャレンジし始めたのだという。
■FIAの禁止命令による影響はない
最近、ビノットとチーム代表のマウリツィオ・アリバベーネとの間に権力闘争が生まれているとも報じられているが、そのビノット自身はフェラーリでは一切トリックを使った事実はないと主張している。
「オイルの燃焼に関してはフェラーリに直接関係するものではないと思っているよ」
そう語ったビノットは、次のように付け加えた。
「それにフロアに関しても、正直に言って、我々のパフォーマンスには何の影響もないと思っている」
■フェラーリの課題は高速サーキット
壁のないモナコとも形容されることがある曲がりくねったハンガロリンクで行われた第11戦F1ハンガリーGPではモナコ以来となる1-2フィニッシュを達成したフェラーリだが、夏休み明けに行われる第12戦ベルギーGP(27日決勝)のスパ・フランコルシャン・サーキットや、続く第13戦イタリアGP(9月3日決勝)の舞台となるモンツァ・サーキットのような高速サーキットでどれほどのパフォーマンスを発揮することができるのか、それがシーズン後半戦最初の大きな注目点となりそうだ。