最近、フェラーリが来季もセバスチャン・ベッテルとキミ・ライコネンのドライバーラインアップを継続することがほぼ決定したようだと報じられているが、イタリア国内ではそれを支持する声が多いようだ。
最近の報道によれば、フェラーリは母国レースとなる第13戦イタリアGPが開催されるモンツァで来季のドライバー体制を正式に発表することになると言われている。
■ベッテルのトップフィニッシュを援護したライコネン
先週末に行われた第11戦ハンガリーGPは、フロントロウを独占したフェラーリのベッテルとライコネンがレースでもその位置をキープして1-2フィニッシュを達成した。
だが、トップを走っていたベッテルはステアリングに不具合が生じており、中盤以降は本来のペースで走行することができなくなっていた。しかし、明らかにベッテルよりもいいペースで走行が可能であったにもかかわらず、ライコネンはチームプレーに徹し、ベッテルに対して攻撃を仕掛けることはなかった。
「ベッテルはライコネンの手助けによって勝った」
そう報じたイタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は次のように続けている。
「本当はライコネンが真の勝者だ。簡単にベッテルを追い抜くことができたにもかかわらず、彼はベッテルの奉仕役に回ったのだ」
「彼はもう1年ベッテルの横にいることになるだろう」
■夢のペアをキープすべき
さらに、イタリアの『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』は、ハンガロリンクで1-2フィニッシュを達成したベッテルとライコネンは「夢のチーム」だとまで称賛し、次のように続けている。
「フェラーリは明確な考えに支えられた力のおかげでブダペストでは無敵だった」
「フェラーリでは、全員が同じ方向を目指してこそ、1人がドライバーズタイトルを取ることができると理解されている」
そして、『Tuttosport(トゥットスポルト)』は次のように書いている。
「この2人のドライバーたちを別れさせることは誰にも許されるべきではない」
また、『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』も次のように報じている。
「ハンガリーは我々にF1がチームスポーツであることを思い出させてくれた。ライコネンは勝利をあきらめることで契約延長を勝ち取るだろう。フェラーリの2人は完ぺきであり、セルジオ・マルキオンネ(フェラーリ会長)も彼らをキープしたいと思うはずだ」
■ポイント差を考えれば仕方がないとサロ
だが、ライコネンと同じフィンランド出身の元F1ドライバーであるミカ・サロは、すでにベッテルとライコネンのポイント差がかなり大きくなっているだけに、フェラーリが取った作戦は的を射たものだと考えている。
「シーズン序盤でポイント差がかなり大きくなってしまっていたから、キミはそれ(チームオーダー)を受け入れるしかないよ」
フィンランドの『Ilta-Sanomat(イルタ・サノマット)』にそう語ったサロは、次のように付け加えた。
「キミがベッテルを追い抜くことができたかどうかは分からない。だけど、フェラーリにとってはこれでOKなんだ。F1はチームスポーツでもあるわけだからね」
ハンガリーで1-2フィニッシュを達成したことでランキングトップのベッテルは現在202ポイントとなったが、ライコネンはベッテルとはすでに86ポイント差の6番手となっている。フェラーリがタイトル獲得の希望をベッテルに託すことになるのは当然といえば当然の話だろう。