レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーが、メルセデスAMGがF1ハンガリーGP決勝でとった作戦に対して疑問を呈した。
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■ハミルトンに3位の座をあきらめさせたメルセデスAMG
今季のF1第10戦イギリスGPで優勝を果たし、ランキングトップのセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)との差を1ポイントに縮めていたルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)だが、ハンガロリンクでの決勝ではフェラーリの2台とともにチームメートのバルテリ・ボッタスにも先行を許す展開となってしまった。
メルセデスAMGは、ボッタスの後ろにいたハミルトンのほうがペースがよいと判断し、ボッタスに対してハミルトンを前に出すよう指示。このとき、チームはもしハミルトンがフェラーリのキミ・ライコネンを追い抜くことができなければまた順位を元に戻すとボッタスとハミルトンに伝えていた。
だが結局ハミルトンは最後までフェラーリ勢をとらえることができなかった。これにより、ハミルトンは最終ラップでボッタスをまた前に出し、ボッタスに次ぐ4位でレースを終えている。
もしそのまま3位でゴールしていれば、このレースで優勝したベッテルとの差は11ポイントで収まっていたはずだが、ボッタスに3位の座をゆずったことでポイント差はさらに3ポイント広がり、14ポイントに開いてしまっている。
■タイトル争いへの影響は認識しているとヴォルフ
「それにより(ハミルトンの)3ポイントを犠牲にしたし、それがタイトル争いに影響を及ぼすかもしれないことはよく理解している」
そう語ったメルセデスAMGのトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)は、次のように付け加えた。
「だが、ドライバーたちやこのチームのやり方に関しては、我々は自分たちが常々言っていることを守るつもりだし、その結果としてタイトルを逃すようなことになってもそれを受け入れるしかないんだ」
■ハミルトンもチームのやり方に理解
今回の件について、ハミルトンはチームの利益を最優先するものの、基本的にドライバー同士に自由に戦わせるという主義を貫いたチームの判断を支持し、次のようにコメントした。
「もし僕がF1タイトルを逃してしまったら、そのときにどう言うかは分からない。だけど僕はまっとうな形で勝利を得たいんだ」
抜きどころのないハンガロリンクでは、仮にチームがボッタスに指示を出さなければハミルトンが最後までボッタスを追い抜くことはできなかっただろう。チームの利益を考えてペースのよいハミルトンを前に出すという作戦をとったものの、それがうまく成功しなかったのであれば、ボッタスに3番手の位置を返すのがフェアだというわけだ。
■メルセデスAMGの姿勢は疑問だとホーナー
だが、レッドブルのホーナーは、メルセデスAMGの今回のやり方はF1タイトル獲得を狙う上でチームとして正しい選択であったのかどうかは分からないと次のように語った。
「我々も2年前のモナコで同じことをしたよ」
「だが、タイトル争いがかかっているのであれば条件は少しばかり違ってくる。メルセデスAMGではチームのリーダーはハミルトンだし、どこかの時点で誰に勝たせるのかを選択しなくてはならないものさ」
■完全に正しいことだとニキ・ラウダ
だが、メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは、メルセデスAMGはこれまでもずっと原則としてチームオーダーを発令しないというやり方を守ってきているし、それは決して間違いではないと次のように主張した。
「我々はずっとどちらのドライバーも自由に戦うことができるし、チームオーダーは出さないと言い続けてきた。そしてそれは完全に正しいことだよ」