レッドブルは、F1のエンジンはもっとシンプルなものにすべきだと訴えている。
現在のF1パワーユニットは、ターボの熱エネルギーとブレーキの運動エネルギーを再利用するハイブリッドのV6ターボエンジンだ。
レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、現行のパワーユニットに変わった2014年以降、F1の人気は「急激に減少」していると『Salzburger Nachrichten(ザルツブルガー・ナッハリヒテン)』紙に語った。
「F1に必要なエンジンは、シンプルで大音響、そしてコストが1000万ドル(約11億円)を超えないようなものだ」
■莫大なコストで無意味な技術を開発している
現在の「無意味なパワーユニット・フォーミュラ」はF1に「ふさわしくない」というのがマルコの意見だ。
「今のパワーユニットは信じられないほど見事なテクノロジーだが、大衆とは無関係だし、ドライバーの存在を脇に押しやるものだ」
「エンジンに2000万ドル(約22億円)かそれ以上もかかるなど、正気の沙汰ではない」
「何より、意味がない。市販車にこのようなテクノロジーは使われていないのだからね」
■独立系メーカーが参入できない
また、エンジンを供給するメルセデスやフェラーリといった自動車メーカーが、ほかのチームを「脅迫」できる立場にあることもマルコは問題だとしている。
「われわれは、2015年に危うくどこからもエンジンを得られない状況に陥った」
「コスワースやイルモアなどが製造できて商業的に成立するようなエンジンルールにすべきだ。そうすれば、われわれだけでなく、ザウバーやトロロッソなど、望めば誰もが購入できる」
■ホンダでさえ苦戦する複雑な技術
マルコは、ホンダが苦戦しているのも現行のエンジンルールが複雑過ぎるためだと話す。
「マクラーレンは破滅に追いやられようとしている。スポンサーに逃げられてね」
「それは、現行のルールが複雑すぎるためだ。そのせいで、ホンダのような世界レベルの企業でさえ、競争力を付けるのが非常に難しい」
■2021年以降の方向転換を求めるマルコ
現行のルールは2020年までのもので、それ以降の新たなルールについて検討が始まっている。
マルコは、F1の新オーナーであるリバティ・メディアに解決を求めている。
「リバティは真剣に取り組むと断言しているよ」
「ロス・ブラウンもその方向で仕事を進めている。なにしろ彼ほどの非凡なエンジニアでさえ理解できないことがあるのだからね」