レッドブルのオーナーであるディートリッヒ・マテシッツが、フェラーリとメルセデスAMGに追いつくためには今しばらく「忍耐」が必要だと語った。
2010年からセバスチャン・ベッテル(現フェラーリ)を擁して4年連続でF1タイトルを獲得したレッドブルだが、現行パワーユニットが導入された2014年以降は最強パワーユニットを誇るメルセデスAMGに圧倒され続けてきている。
■フェラーリとメルセデスAMGに差をつけられたレッドブル
大きくレギュレーションが変更された2017年は、レッドブルがシャシー製造能力の高さを生かしてメルセデスAMGのライバルに浮上するのではないかとも言われていたが、ふたを開けてみればその位置についたのはもうひとつのライバルであるフェラーリだった。
シーズン序盤に出遅れてしまったレッドブルは、先週末にバルセロナで行われた第5戦スペインGPに改良を施したシャシーを投入。しかし、いくぶん2強チームとの差を縮めてきたとはいえ、メルセデスAMGとフェラーリに現時点ではまだ太刀打ちできる状態でないことは明らかだった。
昨年はフェラーリを上回り、メルセデスAMGに次ぐコンストラクターズランキング2位となったレッドブルだが、今年はその位置をキープすることにもすでに黄信号がともっている状況だ。
■今は耐えるしかないとレッドブルオーナー
世界的エナジー飲料メーカーの設立者であるマテシッツは、母国オーストリアの『Salzburger Nachrichten(ザルツブルガー・ナッハリヒテン)』に次のように語った。
「我々は追いついていかなくてはならないが、とりわけパートナーであるルノーの(パワーユニット)改善が遅れてしまっている」
「だから、メルセデスAMGとフェラーリとの差を縮めるまでは、まだ忍耐強くあることが必要だ」
■ドライバーの流出はありえない
今季も思うような戦いができていないレッドブルだが、まだ来季まで契約期間があるにもかかわらず、ドライバーのダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペンに関しては2018年にフェラーリへ移籍する可能性があるのではないかとうわさされている。
これに関してはレッドブルのドライバー育成責任者であるヘルムート・マルコが、現在の契約にはパフォーマンス条項などはなく、いかにチームが不振であろうとドライバー側から契約を中途解除することはできないと反論している。
マテシッツも、「もちろん、その通りだ」と認め、次のように続けた。
「それに、彼らがどこへ行けると言うんだ? メルセデスAMGにしろフェラーリにしろ、たやすくシートが手にはいるようなチームではないだろう」
■新F1オーナーはここまで正しい手を打っている
そう語ったマテシッツだが、新F1オーナーとなったリバティ・メディアによってF1がこれまでよりもいい方向へと進み始めているのは確かだと次のように続けた。
「新オーナーが熱心に改善したいと思っていることは間違いないし、何よりも観客のために何かをしたいと考えている」
「我々も彼ら(リバティ・メディア)に時間を与えることが必要だ。だが、彼らはここまでのところは正しいことをやってきているよ」
■長期的希望は独立系エンジンメーカーの参入
さらに、将来的にF1のレギュレーションがどういう方向へ進んで欲しいと思っているかと尋ねられたマテシッツは、「独立したエンジンメーカーが参入して欲しいと思っている。そうすれば現在の自動車メーカーたちに依存しなくてすむからね」と答え、次のように付け加えた。
「だが、この望みは2020年以降のレギュレーションに向けた長期的なものだ」