かつて1985年から2005年まで活躍していたミナルディの設立者として知られるジャンカルロ・ミナルディが、今季ここまでのF1について語った。
大幅なレギュレーション変更が行われた2017年のF1カーは、これまでよりもダウンフォースが強化されるとともに、昨年までよりも大きなグリップが得られるワイドタイヤを装着したことなどによりコーナリングスピードが大幅にアップし、これまでの4レースでも明らかに昨年までよりもラップタイムが短縮されている。
だが、その反面、追い抜きは昨年よりも難しくなっており、そのためにレースがいっそう退屈なものとなってしまったという批判的な意見もある。
例えば、ソチで行われた前戦ロシアGPでは、スタートで順位変動こそ見られたものの、その後コース上で見られたオーバーテイク(追い抜き)はわずかに1回だけだった。
■ロシアのレース展開も決して退屈ではなかった
だが、ミナルディはそうした意見に対し、イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』を通じて次のように反論した。
「私はドライバーたちが刻んだタイムによってグランプリを分析したんだが、注目に値したのは、あのグランプリ(ロシアGP)がかなりの接戦となっていたことだ」
「あそこには3人の主役がいた。ボッタス(メルセデスAMG)、ベッテル(フェラーリ)、そしてライコネン(フェラーリ)だ。だが、フェルスタッペン(レッドブル)も1周するたびに改善していた。素晴らしい戦いだったよ」
■ハミルトンには油断があった?
だが、そう語ったミナルディにとっても、ロシアGPでルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が主役を務めることができなかったのは意外だったようだ。ハミルトンはロシアGPのすべてのセッションでボッタスに後れをとってしまっていた。
「何よりも、ハミルトンはボッタスを過小評価していたのだと思う」と語ったミナルディは、次のように付け加えた。
「ハミルトンは強いドライバーだが、やる気を失いやすいところもある」
■名門フェラーリの復活を歓迎
一方、イタリア出身のミナルディは、母国イタリアの名門チームであるフェラーリが生え抜きの人材を中心とするチーム体制で今季大きな躍進を見せていることをうれしく思うと次のように語った。
「私は何年にもわたって言い続けてきていた。海外まで人を探しに行く必要などないとね。チームは今後もおごることなく取り組み続け、シューマッハ・トッド時代に続く新たな常勝チームを作り上げることができると信じることが必要だ」
■ライコネンはミステリー
だが、ミナルディは今季のベッテルの活躍をほめたたえつつ、チームメートのライコネンに関しては批判的な見方をしている。
「キミがレース終盤にこれほど速いラップができたことが理解できないんだ」
ロシアGP決勝でのラップタイムに言及しながらそう語ったミナルディは、次のように続けた。
「最初のころは何をしていたんだろうね? バーレーン(第3戦)でも、タイヤに文句を言いながらも、レースがあと2周となったところで最速ラップを刻んでみせていた」
「私に言わせれば、キミはいまだにミステリーだし、それは残念なことだ。なぜなら、もし彼が本来そうすべき速さで走りさえすれば、コンストラクターズタイトルもフェラーリの手が届くところにあるはずだからね」とミナルディは付け加えた。