先週末にソチで行われたF1ロシアGPで初優勝を遂げたバルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)が、チームの事実上の“ナンバー2”だと言われたことを意に介してなどいなかったと語った。
■ハミルトンには勝てないと見られていたボッタス
昨シーズン終了後にニコ・ロズベルグが突然の引退を決めたことにより、思わぬ形でトップチームのメルセデスAMG入りを果たしたボッタス。しかし、今シーズンが開幕して最初の2レースでは明らかにこれまで3度F1王者の座についたチームメート、ルイス・ハミルトンのペースについていくことができていなかった。
そもそも、ボッタスのメルセデスAMG加入が決まったときも、ボッタスがハミルトンと互角に戦えるだろうと考えていた者は少なかった。そして、過去3年間はハミルトンとロズベルグに公平な処遇を約束していたメルセデスAMGも、ボッタスに関しては明確にナンバー2という位置付けを与え、レースでもハミルトン優先のチームオーダーを出すことになるだろうとさえ言われていた。
■余計な雑音は気にしても仕方がない
もちろん、ボッタスにとってそうした報道が腹立たしいものであることは間違いないことだ。だが、ボッタスはその怒りをコックピットに持ち込むことは決してなかったと『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「さまざまな疑問やあらゆる推測があった。ナンバー2ドライバーだとか、そのほかいろいろね。でもそれを気にしてはいないよ。どうでもいいことさ」
「まだシーズンも始まったばかりだということは分かっていたしね」
■ロシアではハミルトンを圧倒
第3戦バーレーンGPでは初のポールポジションを獲得してみせたボッタスは、ソチではすべてのセッションでハミルトンを上回るパフォーマンスを見せ、スタートで2台のフェラーリを追い抜くと、その後は誰にも付け入るすきを与えず、見事に初優勝を遂げてみせた。
今や、昨年までハミルトンのチームメートであった2016年のF1チャンピオン、ロズベルグよりも力があるのではないかとさえ言われるようになったボッタスが無条件でナンバー2の烙印(らくいん)を押されることはなくなりそうだ。
■新たな懸念はハミルトンとの関係?
しかし、これによって別の問題が発生しないかと危ぐする声も聞かれるようになってきている。今季4レースを終えた時点でハミルトンにわずか10ポイント差のランキング3位に上昇したボッタスがF1チャンピオン候補にも数えられるようになったということは、またロズベルグのときと同じようにハミルトンとの関係が悪化していくのではないかというものだ。
こうした疑問をぶつけられたメルセデスAMGのトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)は、次のように答えた。
「ロシアで最初に彼(ボッタス)を祝福したのはルイスだったよ」
「もちろん、彼らはコース上では敵同士だ。だが、私は二人の関係がルイスとニコのときのようなものになるとは思っていないよ」
■チャンピオン争いが激しくなれば関係も変わるはず
一方、ボッタス本人はこのことについて次のように語っている。
「ここまでのところ、すべてが非常にプロフェッショナルに行われてきているんだ」
「もちろん、シーズンが進むにつれて少しばかり問題が発生することもあるだろう。特にF1チャンピオン争いということになればね。そうなれば、話すことが減り、争うことが増えていくと思うよ」とボッタスは付け加えた。