メルセデスAMGを率いるトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)が、ついにフェラーリという強いライバルが出現したのはF1にとってよいことだと語った。
2014年に現行パワーユニットが導入されて以来、メルセデスAMGがF1タイトルを独占するとともに、各グランプリにおいてもシルバーのレーシングスーツを身にまとったドライバーたちが表彰台の中央に立つのが当たり前というシーズンが続いていた。
だが、今季はまだ3レースが終わった段階に過ぎないものの、その様相がかなり変わってきているのは事実だ。
■メルセデスAMG最強時代は終わったとヴォルフ
2014年から2016年まで一度も落としたことがなかった開幕戦での勝利をフェラーリのセバスチャン・ベッテルに奪われたメルセデスAMGは、第2戦中国GPでルイス・ハミルトンが勝利を飾ったものの続く第3戦バーレーンGPでも再びベッテルに勝利を奪われてしまった。
もちろん、現時点ではベッテルがドライバーズランキングのトップにいるが、2014年以降、メルセデスAMGのドライバーがランキングトップの座をほかのチームのドライバーにゆずったのは初めてのことだ。
「ああ、3年間に及んだ我々の独占時代も終わったよ」
ヴォルフはスイスの『Blick(ブリック)』紙にそう認めると、次のように付け加えた。
「それはF1にとってはいいことではなかった。多くのファンが素晴らしい選手権を待ち望んでいるのはそれが理由だからね」
■ドライバーの確執問題からは解放されたメルセデスAMG
一方で、ヴォルフは、今季のメルセデスAMGはドライバー同士の関係が穏やかになっており、チームもそれを好ましく考えていると次のように語っている。
「以前は、3年間にわたって我々はどのように(ニコ)ロズベルグとハミルトンに対処すべきかを考えなくてはならなかった。だが、そうした問題はなくなったよ」
■チームオーダーもやむを得ない場合がある
とは言うものの、前戦バーレーンGP決勝では、初のポールポジションを獲得したバルテリ・ボッタスに対し、チームメートのハミルトンを前に出すようにチームオーダーを発令していた。
ボッタスはレース後に、そうしたチームオーダーを発令されることは「決してうれしいことではない」と怒気を含めてコメントしていた。
「それは決して気分のいいものではないさ。だが、我々が自問しなくてはならなかったのは“このレースを落としてもいいのか?”ということだった」
そう述べたヴォルフは、次のように付け加えた。
「バルテリはタイヤをうまく扱うことができていなかった。だから、我々としてはルイスを前に出さざるをえなかったんだ」